気合いで頑張れ
□15「忘れていた」
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「だから若…」
「なーんでワシらがそんなコソコソせにゃーならんのです!!」
日曜日、今日は朝っぱらから清十字団の奴らが俺の家、奴良組本家にくる。
だから今リクオが妖怪達に隠れるよう説得中、俺は池の前で河童にきゅうりを与えている。
だって河童可愛いんだもん。
「リクトも説得するの手伝ってよ!」
「お前が仕出かした事だから俺はパスー…河童かわいー」
今日清十字団が来るのは元はといえばリクオが断らなかったせいでもあるので、俺は影ながらゆらの動きを見張る事しかするつもりはない。
ゆらは一応陰陽師で危険だから。
「もう…リクトの馬鹿ー!」
「え…うお!!」
リクオが妖怪達の説得に戻ろうと踵を返したさい肩と肩がぶつかって俺はバランスを崩した。
そんでもって身体が妙な浮遊感に襲われたと思ったら次に来た感覚は冷たい水。
とどのつまり池に落ちた。
なんか以前にも落ちた気がする、鯉伴が刺される少し前位に。
「ブハッ…冷たっ!!」
「大丈夫ですか若!!」
河童が心配してくれた。
心配顔も可愛い。
「ん…大丈夫、リクオは?」
「もう玄関に行きましたよ」
「…風呂で身体温めてから行くか…河童も今日は隠れとけよ!!」
「はーい」
リクオが池に落ちた俺を無視して清十字団のところに行ったのは少し悲しいが、取りあえず悲しむ前に風呂に入ることにした。
「あれ…なんか大切な事を忘れてる気がする…」