気合いで頑張れ

□19「洋菓子と妖怪」
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「さぁみんな、いいかな…それで?」


清継の言葉に皆頷く。


「よし…いくぞ、せーの!!」

「………」

「ぐあああぁぁぁまた負けたぁぁ!!」

「くそーまたリクオと花開院さんの勝ちかよ!!」

「ちくしょー持ってけよ…賭けたお菓子持っていきゃいいだろー!!」


新幹線の中で騒ぎ倒すこいつらを俺はどうしてやればいい?







「捩眼山伝説ですか…聞いたことないですね…」


戦利品のお菓子をもぐもぐと口に運びながら不思議そうな顔をするゆらを見て、影ながらキュンとした俺はやはり変態の部類に入るのだろうか。


「そりゃーゆらくんが知らないのも無理はない!!"妖怪先生"の様なマニアの方々にしか知られていないのだよ!」


胸を張って言う清継を横目で見ながら持ってきた醤油煎餅をボリボリ食べる。
あぁ、和菓子美味。


「今日はその凄い伝説とやらを聞きに行くんだ!そのためには「妖怪の知識」をためなければ!!」


清継はばっと額の前にトランプを添えた。


「さあ!!ハイもう一度!!」
巻と鳥居が文句を言い始める。
て言うか所詮インディアン・ポーカーだよね、絵柄が妖怪なだけだよね。
妖怪殆ど関係ないじゃん。
仮に関係会ったとしたら清継は妖怪運はこの上なくないよ、ずっと1の納豆小僧だもの。
一番弱い奴だもの。


「奴良くん(兄)もやりたまえ!!」

「ん…うぇ?」


醤油煎餅をボリボリしていたらいつの間にかトランプを数枚持った清継が俺の前にいた。
なに、俺もやんの?


「えー…」

「リクト、一度くらいやってあげようよ…」


露骨にいやがっていたらやや上目遣いのリクオに説得された、思わず目を逸らす。
リクオが可愛いすぎて人生が楽しいっ……!


「…はぁ、一回だけだからな」

「では早速やろうでは…「ただし」ん?」


俺が清継に合わせるだけではつまらないしなんか負けた気がする。
圧倒的にメリットがない!


「清継、今お前の持っている全ての菓子と俺の持っている全ての菓子賭けようぜ」


ニヤニヤしながら言えば、清継以外の全員物凄く「こいつ性格悪ぃ…」という顔で見てきたが無視。
清継はそんな皆の視線に気が付かないままかなり乗り気だ。
「いいだろう!ではいくよ?いいね!?」

「早くしろ煩わしいな」


清継の額のトランプにはさっき選び直した筈なのにやはり1の納豆小僧がいる。
可哀相に…、同情はしてやらないけどな。

鳥居、巻は清継のトランプを見てがっかりとした表情。
ポーカーフェイスくらいしろよ。


「せーの!!多分ボクのは牛鬼だなぁ!?」

「菓子ゲーット…フフッ」


何で清継は何時も自信満々何だろうか。
少しは自重しろよ、俺みたいに。
その性格かなり読みやすいぞ。
横で嘆く清継を無視して菓子をごっそり貰っていく。
洋菓子、ゲットだせ!!
しかしあまりに清継が悲愴な顔をする為、最低限の救済措置として、奴の口の中にかりんとうを3つほど突っ込んでおいた。


「リクオは強いなぁ」

「あはは…また勝っちゃった」


13のぬらりひょんのトランプを持ったリクオは20連勝という普通ではない成績を叩き出して、最早苦笑いだ。

島にも突っ込まれて少し焦り始めたリクオは進んで買い物に行くことで逃げた。
良くやるよ。


「リクトも何かいるものある?」


戦利品の洋菓子をハグハグしてたらリクオが聞いて来た。


「俺はまだ結構残ってるからいい」

「まだって…それ清継くんのだよね」

「元だ元」

「元って…ムグ!!」

横でぶつぶつ言っているリクオの口に菓子をねじ込んで黙らせ、さっさと買い物に行くように背中を押した。


「…旅行なんて久し振りだな」


口に洋菓子を運びつつ、窓の外の景色を眺めて1人ほのぼのとする。
ていうか洋菓子美味い。

ひたすらハグハグしながら駅への到着を待った。



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