SSS

□俺の。
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「ねーねー何の本読んでるのー?」
「…」
「ねーってばー」
「…はぁ」




春らしい光が真新しい、とはお世辞にも言えない教室に注ぎ込んでくる昼休みの時間。
春から新高校生となった俺、光未月(ヒカリ ミツキ)は、心底うんざりしていた。

なぜか。

それは、この俺の前の席のヤツ。神家総(カミウチ ソウ)がウザったくて仕方ないからだ。

小学校高学年から中学卒業まで延々ボッチだったせいか、同い年の相手があまり得意ではない。
静かに本を読んでるような、傍から見たら根暗と言われるような相手ならまだできる。
まだ、な。
こいつの場合は真逆の存在だ。
俺が太刀打ちできる相手じゃない。



…話はそれるが、俺は男だ。






「なぁ、神家」
「総でいいよ」
「じゃあ、総。うざい。黙れ」
「えー、せっかく同じクラスになったんだから話そうよ」






…もう、いい加減にしてくれ。





























…なんて思っていた遠い昔が懐かしい。
今はと言えば。











「総、準備できたか?」
「もーちょい…ッ」
「さっさとしろよ。女かお前」
「だって猫がぁ!…って言うか未月に言われたくない!」
「うっせえ。早くしろよ。クラス会遅れんだろーが」
「もー、準備できたから怒鳴らないで!ただでさえよく通る声してるんだから、未月は」
「ったく…。何でこんなアパートなんかにしたんだよお前」
「家賃安いでしょ?」
「…まぁな」
「…よしっ。行こう未月」
「分かってるっつーの」



何故か、俺のボッチが解消され。
何故か、総と居るのが当たり前になり。
何故か、同居し。
何故か、恋人という肩書が出来ていた。



新高校生になったばかりなら考えられなかったことだ。
自分も、まさかこの10年間の間にこんなことになるとは思わなかっただろう。
人生とは、何が起こるか分からないな。全く。



「ん?未月どうしたの?」
「いや。人生は何が起きるか分からないなと思ってたんだよ」
「何ソレ、おじいちゃんみたい」
「うっせえ」
「でも、ホントだね。僕も未月とこうして一緒に居られるなんて思わなかったよ」
「だな」
「じゃあ、クラス会行く前に一言だけ」
「俺も」




「「これからもお世話になります」」












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『ヤマ・オチ・意味なし』
なんて今に始まった事じゃない。


女っぽい名前を使いたかったけど、なんだか使うところなくなりました。








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