novel

□素直になれない
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「剣城!」

終礼後のチャイムが鳴り響く中、天馬は剣城に話しかけた

「な、何だよ」

剣城は昼休みのことがあったせいか会話をするのが気まずそうだった

「昼休みのことは許してあげるから今日俺ん家来ない?」

「許してあげるってなんだよ」


天馬は剣城がいつまでも引きずっているものだから少しイライラしだしていた

「来るの?来ないの?」

「……行く」

剣城は少しふて腐れながらも了承した




「ここがお前の部屋か」

剣城は珍しそうに辺りを見回した

「意外と綺麗だな」

「意外って何だよ!」


剣城は少し微笑みながら床に座った
すると天馬は剣城の後ろから覆い被さるようにしてベッドに腰掛けた

「てめぇっ何のつもりだ!」

「別にぃ…」

天馬は剣城の耳にそっと息を吹き掛けた

「んっ…」

「剣城は耳弱いの?」

天馬は妖しく笑うといたずらっぽく剣城の耳を舐めた
「っあぁ…」

剣城は快感からか抵抗できずにされるがままになっていた

天馬はどこで覚えたのか厭らしい手つきで剣城のシャツに手を忍ばせた

「ぃあっ…おまっ、やめろ!」

剣城は真っ赤になりながら必死に抵抗した
すると天馬は剣城の耳に口が
つく位近づいて低く、色気づいた声で剣城を呼んだ

「京介…」

剣城は大げさな位肩を揺らした

「俺のこと…」

剣城の鼓動は破裂するくらい速く、顔は真っ赤だった
「好き…?」

「…」

天馬は一端止めていた手を再び動かした

「ひぁっ!」

「…京介?」


剣城は恐る恐る口を開いた
「っ……好き。天馬が、っ好き…」

天馬は満足そうに笑うと、立ち上がり剣城の前に座った

「キス…してもいい?」

剣城は耳まで真っ赤になりながらも、小さく小さく頷いた
天馬は微笑みながら一度、少し触れるだけのキスをした

それだけでは物足りなかったのか剣城の唇を舐め、角度を変えてもう一度口づけた
その内歯止めが効かなくなり剣城を押し倒して何度も何度も口づけた

剣城は初めての感覚に頭が回らなくなり放心状態になっていた

「好きだよ、京介」

「…俺もだ、天馬」

二人はどちらかということもなくもう一度小さな、しかし愛に溢れたキスをした
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