魔法使いヒッキー

□その36
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うむ…眠い…。むくりとソファーから起き上がるとスネイプ先生の話し声が聞こえた。電話でもしてんのかな?あーここには電話ねーわ。
にしても朝も早くからご苦労なことで…。
ふあぁ…と欠伸をしながら起き上がると、話し声は止んで先生はこちらにやってきた。

「はよーございまー。」
「早いな、どうしたんだ。」
「話し声がしたんで起きたんですよー。誰と話してたんですかー?」
「いや、クィディッチの練習の許可をもらいたいと来たからな。」

これまた朝からご苦労なことで。
目を擦りながら先生の着ているローブに入り込む。ぬくい……。ぎゅ…と先生に抱き付くと彼は小さな溜め息をついた。

「離れたまえ。」
「先生がぬくいので離れたくない。」
「いつもなら我輩から逃げるのにか?」
「卑猥なことをしようとしなければ近寄りますよ。」

にへ、と笑うと先生は納得いかない顔をしてた。ボクが良いから良いじゃんか。

「もう一度言う。離れろ。我輩は執務がある。」
「照れ隠しですね、わかります。」
「それともベッドで「クィディッチの練習見てくるー。行くよカッパ。」チッ」

印象悪いよ先生。というか最近性欲ヤバくないですか?あれですか、思春期がきたんですか?カッパを脇に抱えて先生の部屋を出た。競技場に来ると、何やら騒がしかった。スリザリンのチームがあざけ笑っているのを見て、あー何か喧嘩かなーと思った。

「朝から血気盛んでごくろーさん。」
「!名無しか。今それどころじゃないんだ。」
「何があったかぐらい教えてよー。」
「別に。穢れた血を穢れた血と呼んだだけだ。」

あ?マルフォーイいたの?チビすぎて気付かなかった。「穢れた血」と聞いてグリフィンドールのチームはかなり荒れた。
その中でロンが「マルフォイ、思い知れ!」と言って杖を振った。それはバチッと光るとロンが吹っ飛ばされた。 大丈夫かと近付けば、彼の口からぼこぼことナメクジが出てきた。
うえぇ…えんがちょー。
スリザリンのチームはそれを見て笑っててグリフィンドールのみんなは睨みつつ退散して行った。ボクはというと、ロンが心配なので彼らについていった。彼等はハグリッドの小屋に入り、ロンはハグリッドからバケツを借りてそこにナメクジを吐いていた。
見てて気持ち悪いが、ついつい見てしまうのが人の性だよな。

「……気分悪そうだな。」
「当たり前だろ……ナメクジ……が…止まらないん…だから。」

ごぼごぼとナメクジを吐く彼を見て、ふと小さい頃よくやってもらったおまじないをすることにした。

「痛いの痛いの飛んでいけー!」
「名無し、ロンは痛いんじゃなくて気持ち悪いんだよ。」
「じゃあ、気持ち悪いの飛んでいけー!」

しかし、ロンの顔色は対して変わらなかった。むー…なんだかこれはこれで腹立つ。もっと具体的に飛ばす相手を言った方が良いかな。

「ロンの気持ち悪いのがスリザリンのチームの奴らに飛んでいけー!特にフォイを強めに飛んでけー!」
「それでロンのナメクジが治るわけないでしょ。」
「あれ…?気持ち悪くないや。」
「「えぇっ!?」」

ハーマイオニーとハリーは驚いてロンを見た。口からなめくじが出てくる様子も全くなかった。おまじないってすげーのな。飛んでいく先を指定したら効力あるんだな。今度から怪我したらそうしよう。うんうん、と頷いていると、ハグリッドがそろそろ昼食の時間だと言った。マジか。言われてみると、太陽は真上に来ているのがよくわかる。
みんなで大広間を目指していると、途中に顔色の悪いフォイがお腹を抱えてよたよたと歩いていた。

「君、本当凄いんだね。」
「やー…、多分偶然なんじゃね?」

こそっとロンに言われた。
だって、確証ないじゃんか。大広間に入るとスリザリンのチーム全員が顔色悪くしていた、らしい。顔覚えるの苦手なんだよねー。

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