魔法使いヒッキー

□その37
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ハリーたちと席についてお昼を食べていると、いきなりパンジーに声をかけられた。

「ちょっと名無し!」
「ん?何?どうしたのパンジー?」
「あんたのベッド、何とかしなさい!」
「は?あぁ、うん…。」

ボクのベッド?寮のベッドに何か置いといたっけ?まずあれを頻繁に使ってないからなぁ…。とりあえず午後にやることやってから寮に行こっと。


なんて考えてたら結局晩ごはんを食べてからになってしまった。久しぶりに寮の自分のベッドに向かい、愕然とした。

「何、これ?」
「それはこっちの台詞よ。早く処分したら?」
「お、おぉ…。」

ベッドの上には何束かの薔薇の花束とプレゼント、そしてこれをやった張本人の写真。思わず怒りで握った拳が震える。

「あンの阿呆があぁぁぁあぁあぁ!!」
「この写真うっざいから早く処分してね。」
「マジすまんかった!今から処分する!」

しばらく見ないうちに阿呆のロックハートのプレゼントの山と化したボクのベッド。写真の阿呆どもは「嗚呼!愛しの君!」とほざいていたが、無視してシーツを引き剥がし、風呂敷包にした。

「カッパ、これ持って。」

カッパに風呂敷包を渡してパンシーに何度も謝り、他のルームメイトにも謝っておいて、と言ってから大股で阿呆の元に行く。奴の部屋に来たら奴も一応教師なので扉をノックする。

「音無です。お時間よろしいですか?」
「Ms音無ですか!どうぞどうぞ、鍵は開いてます。」

開けたくない。
こいつと二人きりになりたくない。嫌々「失礼します。」と言って扉を開けると、以前クィレル先生の部屋だったことを忘れてしまいそうになった。趣味悪っ!自分の写真ばっかり貼ってるなんて、ナルシー過ぎだろ。呆れながら阿呆を見ると、近くにハリーの姿を見た。

「ハリー!?何しとん!?」
「名無し!ほら、僕とロンが車で飛んで来たじゃないか。それの罰さ…。」
「え?そんなことあったの?」「………。」

首を傾げながら聞けば、あんなに騒いだのに…とハリーは呆れた。魔法界の車は空も飛べるのかー…。……今はそれどころじゃないんだ。阿呆を見ると、奴は何かね?と悪びれもなく聞いてきた。

「先生、これは流石に他の生徒に凄くよろしくないのでお返しします。」

ドサッとカッパにそれを下ろさせると、ハリーは風呂敷包にしたそれから阿呆のロックハートの複数の声が聞こえたのか、ボクを憐れむ瞳で見た。なるべく丁寧な口調で言えば、何を思ったのか奴はウザい笑顔をこちらに向けた。

「そう言う口実で私に近付くとは、君はなかなか素晴らしいじゃないか!」
「それで貴方の御霊を取れたら尚更なのに。」
「大丈夫だよ、君は私のフィアンセさ!」
『死ねばいいのに。』

チッと舌打ちしてからシーツの中にある物を床にぶちまけ、ハリーに無理せず寝ろよーと言って部屋を出た。後ろで「君ならいつでも歓迎しますよ!」と聞こえた。あんなとこ、二度と行くか。死ねばいいのに。

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