魔法使いヒッキー

□その31
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『やめろ!』
「「!?」」
「大の大人が何公共の場で喧嘩してるんです!第一自分の子供の前で!それに本が可哀想でしょ!」
「君、本音はそれだろ?」
「当然!」

ロンに言われて胸をはって返事すると、ロンたちに呆れられた。本は大切よ。でも、それより大人の方がボクをじっと見ていた。

「え、何?…。」
「音無…。」
「え?ボクのこと、知ってるの?」

フォイの父親がボクを見て泣きそうな、でも嬉しそうな目だった。そして彼はボクに柔らかく笑った。

「君は君の母上と容姿がすごく似ている。」
「え!本当ですか!」
「勿論…君は母上に似た美しい容姿だ…。」

さらりと一房髪を触れたフォイの父親はそれにキスをした。あまりに自然すぎてぼんやりとしてた。や、やばい。
これは流れに流されるフラグだ。そう自分に言い聞かせていると、君の名前は、と聞かれた。

「名無し・音無です。スリザリンです。」
「私はルシウスだ。スリザリンということはドラコとはもう知り合いかね。」
「あ、はい。」
「そうか…今度手紙を送っても良いだろうか?」
「良いっすよー。ボクも母さんのこと沢山知りたいんすよー。」

へらりと笑えば、また彼は、ルシウスさんは泣きそうな目をした。そして踵を返す際に、この場で一番若いこれまた赤毛の女の子に乱暴に本を彼女の鍋に入れるとフォイと店を出て行ってしまった。
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