偽りの姫
□隊士兼小姓
1ページ/2ページ
「…と言うわけで土方さん。この子、一番組の隊士兼僕の小姓にするから」
『………………………』
「晶。お前は、それでいいのか?」
『ボクは…「ね?同意の上だよね」…あぁ!もう!分かりましたよ!小姓になればいいんでしょ!!小姓になれば!!!』
「ね?だから良いでしょ?土方さん」
「俺には大分不満に見えるんだが…まぁ、良い。とりあえず、近藤さんに相談しておく。それと晶。小姓になったら総司と同室になるが、構わないか?」
『どうしつ………同室!?』
晶が沖田の方を見ると、沖田はこの展開を見透かしていたようで、ニヤニヤ笑っている。
また、目では「別に問題ないよね?反論したらバラすけど」と訴えていた。
『わ…分かりました。同室でも…構いません』
晶がチラッと沖田の様子を伺うと、またニヤニヤと笑っている。
晶は大きな溜息をつきながら、土方の部屋を後にした。
その後に続いて、沖田も部屋から出てきた。
そのまま、とは言っても、晶は沖田に促される形で、沖田の部屋に向かって歩き出した。
『…沖田さん。ボク、同室になるなんて聞いていないんですが』
「当たり前だよ。言ってないもん」
『言っていただかないと困るのですが』
「でも、晶ちゃんが僕の小姓になるのはほぼ決定事項だったし、言う必要ないかなって思ってさ。」
『その《ほぼ》ってなんですか《ほぼ》って』
「ほぼはほぼだよ。だって、近藤さんや山南さん、土方さんが承諾してくれるとは限らないでしょ?」
『承諾しないことを願うばかりですよ!』
「素直じゃないなぁ」
『素直すぎるぐらい素直な感想ですよ』
晶は半ば諦めつつ、渋々沖田の部屋に行った。
ついて、暫くして、絶望のどん底に落ちていったのは言うまでもなく。
しかも、今日から同室だなんて、そんな不幸だらけの晶の夜だった。