偽りの姫

□隊士小姓
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「…と言うわけで土方さん。この子、一番組の隊士兼僕の小姓にするから」


『………………………』


「晶。お前は、それでいいのか?」


『ボクは…「ね?同意の上だよね」…あぁ!もう!分かりましたよ!小姓になればいいんでしょ!!小姓になれば!!!』


「ね?だから良いでしょ?土方さん」


「俺には大分不満に見えるんだが…まぁ、良い。とりあえず、近藤さんに相談しておく。それと晶。小姓になったら総司と同室になるが、構わないか?」


『どうしつ………同室!?』



晶が沖田の方を見ると、沖田はこの展開を見透かしていたようで、ニヤニヤ笑っている。


また、目では「別に問題ないよね?反論したらバラすけど」と訴えていた。



『わ…分かりました。同室でも…構いません』



晶がチラッと沖田の様子を伺うと、またニヤニヤと笑っている。


晶は大きな溜息をつきながら、土方の部屋を後にした。


その後に続いて、沖田も部屋から出てきた。


 
そのまま、とは言っても、晶は沖田に促される形で、沖田の部屋に向かって歩き出した。



『…沖田さん。ボク、同室になるなんて聞いていないんですが』


「当たり前だよ。言ってないもん」


『言っていただかないと困るのですが』


「でも、晶ちゃんが僕の小姓になるのはほぼ決定事項だったし、言う必要ないかなって思ってさ。」


『その《ほぼ》ってなんですか《ほぼ》って』


「ほぼはほぼだよ。だって、近藤さんや山南さん、土方さんが承諾してくれるとは限らないでしょ?」


『承諾しないことを願うばかりですよ!』


「素直じゃないなぁ」


『素直すぎるぐらい素直な感想ですよ』



晶は半ば諦めつつ、渋々沖田の部屋に行った。


ついて、暫くして、絶望のどん底に落ちていったのは言うまでもなく。


しかも、今日から同室だなんて、そんな不幸だらけの晶の夜だった。

 

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