偽りの姫
□最悪の再開
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土方が大阪から帰ってきて、晶は羅刹化について話した。
土方はそれをふまえた上で、晶を新選組の隊士としていさせてやると言った。
それから、5ヶ月が経ち、6月になった。
――――――
――――
――
「晶。行くよ。」
『はい』
晶は、近藤、沖田、平助と共に池田屋に乗り込むことになった。
「ご用改めである!」
近藤の勇ましい声と共に、池田屋襲撃が始まった。
晶はどんどん人を切っていく。
全身に血を浴び、足を、手を、血に汚し。
どんどん、どんどん切っていく。
――…ズクンッ
『……ヤバい……』
晶の身体の中心が疼く。
晶は、理性を保とうと必死になり、動きが鈍り始めた。
それを見越した隊士が切りかかってくるが、間一髪のところで切り捨てる。
晶は隙を見て、階段の下に潜り込み、深呼吸をして、疼きを鎮めようとしていた。
鎮めようとしていたときに、二階から、大嫌いな奴らの気配がした。
階段下から辺りを見渡しても、沖田と平助の姿が見当たらないことに気がつき、まだ中心が疼いている身体に鞭打って、二階へ向かった。
二階につくと、案の定、2人の姿があった。
しかし、その2人の視線の先には、それぞれ奴らがいた。
平助の視線の先には天霧が。
沖田の視線の先には風間がいた。
沖田と風間は既に殺りあっていたようで、誰がどう見ても、沖田が不利な状況だった。
「久し振りだな、晶。」
『……風間……千景……』
「何をそんなに怖い顔をする必要がある。」
『黙れ』
そう言って、晶は沖田と風間の間に立ち、刀をかまえた。
「晶。さがって。あれは僕の獲物だよ」
『知っています。』
「だったら、さがって。」
『無理です。沖田さんを死なせるわけにはいきませんから。』
「ほう?晶。お前は今ここで俺の血を見て、理性を保っていられるのか?」
『―…それは…!』
晶は悔しそうに顔を歪める。
それを見透かしたように、風間は刀をかまえ、不適に笑った。
「まぁ、いい。かかってこい。師がどれほど強いか証明してくれよう」
『…っるさい!』
晶は風間に飛びかかった。