甘い目眩

□十人十色の春
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☆あい☆




地元に戻ると決めたのは、結構な頻度でしつこくやって来る信ちゃんと明海ちゃんに負けたから。


帰るつもりなんてなかった、すばるくんとのことだけじゃなくてもうこっちで生きてく覚悟もしてたから。


それなりに仕事頑張って、彼氏も作ったし友達もできた。

こっちでできた彼氏とはごく最近まで2年付き合ってちゃんと好きだったんだ。

でも私はあっさり別れてしまった、地元に帰ることになったからと。

別れないでいることも少し待ってもらうことも、帰らないでいることもできたはずなのに…。


彼との思い出を整理して荷作りができたのは引越し前日、気にしてなのか逃げないようになのか明海ちゃんが泊まりに来てたから倫子も大騒ぎしながらもちゃんとやっていた。


この部屋での最後の夜、すぐ寝てしまった倫子とは裏腹にわたしは眠れないでいた。

その時にサイレントにしていた携帯が光ると、別れた彼氏からのメール。

それを見て明海ちゃんも眠った部屋をそっと出ると、下には見慣れた車。


『返したいものがあるから下にいる』


そんなの口実だってわかってたけど、今はどうしようもなく会いたかった。

私は確かに彼を好きだったんだって、ちゃんと確認したかった。

酷い女だと思うよ。

でも…、車の中でキスして抱かれても結局はもう遠い記憶のはずのすばるがよぎってね…


泣きたくなった。


どうして、すばるなんだろう…って。







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