甘い目眩
□台風の目
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車に乗ったらすぐにメールがきたから、おやっさんとこついてから電話した。
『箱に入ってたけど、これどこの鍵なの?』
『一緒に住むとこの鍵。』
『………え??』
『アカン?』
『いや…、侯隆…、ありがとう…』
『泣くなや(笑)今日終わった行くから切るで。ほななー。』
真っ赤な顔は日差しのせい。
アカン、恥ずかしい、かっこつけてもうた。
ずっと考えてた、実家を出ること、真子と暮らすこと。
結婚はまだ先がええねんけど、一緒にはやっぱりおりたいねん、なんてな。
とりあえず仕事して、夜会いに行くとちゃんと話しをした、これからのことも将来のことも。
真子も理解してくれて、喜んでくれたから、公認ではあるけどこんどちゃんとご両親には挨拶せななーとか、そんなん話しながら夕飯食べて、俺はゲームで真子はテレビ見て、別々なことしながらも苦にならない空気が好きで安心する、幸せってこんなことの積み重ねなんやろな。
そんなことがあってすぐ、愛の誕生日。
みんなですばるのとこに集まれば、噂の忠義彼女もおった。
花火大会で俺ら会えなかったから、高校生ってことになんとなく緊張するわー、真子は愛と倫子が馴染んでるのみて安心して仲間に入ってたけど。
そして、もうあからさまに甘ったるい空気のすばるに苦笑い。
倫子と亮が騒ぐから見れば、愛の左薬指には指輪が光ってて…
二人は幸せそうに笑ってたから、なんか安心した、もう大丈夫やなってそんな風にな。
誕生日なんやから二人で過ごせばええのに、飲み会を選ぶとこがなんか不器用やなーって思うけど…
ちゃんとすばるが予約して用意したらしいケーキが出てくると、もう痒くなるぐらいの甘い声出しよんねん、二人して!!
ここで信五が『良かったなぁ』って泣いてる意味がわからんけど、もうなんやわからんわー、なんなん?みんなドアホなん??(笑)
それから酔いつぶれる前に、みんなでプレゼントを渡した。
俺らからはミッキーのTシャツとミニーのTシャツ。
『それすばるがミッキーで愛がミニーな、お揃いやねん。』
『はっ?なんで俺やねんな、誕生日愛やぞ!』
『うわーありがとー、これすーくん似合いそうだね。』
笑顔の愛にすばるは、『そーか?』って素っ気ないけど照れてるし喜んどるし、もーアカン、鬱陶しいわー(笑)
結局終始いちゃついとった主役と彼氏に胸焼けしそうになりながら、真子と帰ると真子も別の意味で安心してくれたらしい。
俺の出番はもう終わったからな、ヤキモチやくこともないかなって笑ってた。
それから二人で引っ越しの日を決めたり、挨拶に行ったりすればお盆直前。
ずっと晴れだった街に、台風が接近中、でもそれはそれでな楽しみもまた増えるって話。
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