黒バス

□140字のらくがき
1ページ/1ページ

俺が生きていくには暑すぎたんだ。何が。いきなりそんなことをつぶやいた俺に心底不思議そうな顔で聞いてくる日向に少し、笑えた。なにも答えない上にいきなり笑いだす俺に少し不満げな日向。それはよくみる表情。ああほんとに暑すぎて、蒸発して消えちゃいそうだ。

あったかすぎて、…暑すぎて。もう、全てをはいてしまいそう。溶けてなくなる前に全て伝えてしまいそう。そうなったら綺麗に君の前からなくなれないから、もっとこの熱を下げて欲しい。そのためには君から逃げて、逃げて。「一緒には行けないよ」

いままでだってついていくので精一杯だったのに、溶けていく身体は重くて君との差はひらいていく。はなから隣に並べるなんておもってなかったけれど、ばかな俺はどこか期待してたからこれは罰かもしれない。ことあるごとに気温を上げて暑くする君のせいにしながら、君の隣を狙う、俺の、俺だけへの罰。

それならいっそ、道を外れてしまおうか。君のいない道へ。そしたら追いつくとか離れるとか最初からないから。…あ、日向はもっともっと先にいってて。俺のとどかないくらい遠くへ。もしかしたらこの暑さを忘れたくらいに逢えるかも。あえたら元気?って話しかけてあげる。日向の望む友人としてさ。

先に行って。
んで、早く幸せになって俺に見せつけて。そしたら日向と日向の好きな人が一生幸せでありますようにって心の底から願うよ。願える自信、ある…よ。

「あぶねっ……だぁほ。なにさっきからぼーっとしてんだ、こけるぞ…ったく。」1、2歩先の君に現実へと引き戻された。君は先にいるのに右手を伸ばして俺の右うでをつかんでいる。…待たなくてもいいのに。俺一人でも歩いていけるのに。「どうでもいいことだから日向は知らなくていい」 

だから、俺なんか待たずに先に行けよ。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ