黒バス

□恋心に抗えない
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日向相手に好きだとかかっこいいだとか、まるで少女漫画の主人公が経験する「恋」の代名詞のような感情を持つようになったのは俺の人生最大の気の迷い。初めて感じたときにそういうことにしておいた。

自主練を終えて着替えながら、いつのまにか自分の中に現れていた恋心(仮)について考える。
ちょっとした仕草や言葉遣いだけでもああ、好きだなぁなんて無意識に思ってしまうそれは最近には思うだけでは事足りず、口にまででてきそうになるとても厄介なもので、今ではすっかり日向の前で気を抜くことができなくなった。少し前まで彼の側は凄く安心できる所だったのに。最悪。気の迷いなら早く正気に戻ってくれ、と願わずにはいられない。俺は日向と友人として一緒にいたいのだから。それは嘘も偽りもない本心だ。…まあ、少しは他の関係として一緒にいたいとも思わなくはないけれどそれは恋心(仮)のせいってことで。
「もう帰ったかと思った」
後ろから突然かけられた声に驚くことはない。日向が来たのはとっくに把握済み。
「日向が戻るの待ってたんだよ…ハッ……松葉づえが奉られるのを今釣りしながら待ってる!キタコ「きてねぇ黙れ」
いつも通りの会話。大丈夫、楽しい。
「早く着替えて帰ろ…もうすぐ7時半だし」
考え事をしながらでも良い感じに閃いたダジャレを書きとめながら未だ練習着でベンチにだらだら座ってる日向に着えを促す。汗を拭う姿にやっぱりかっこいいなだなんて思いながら勝手に心拍数を上げてる俺にきっと日向は気付いていない。気づかれちゃいけない。一時の気の迷いに友人というポジションをとられる訳にはいかないから。気付かれたらその時は死んでもいい覚悟。
「よし、帰るぞ」
日向のその言葉を合図に、俺はそれ以上考えるのをやめた。

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