★星箱
□一日目!
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「……夏希の家、これ…全部?」
「うん!正しくは大お婆ちゃんの、だけどね!」
「…僕も始めて来た時には同じリアクションでしたよ」
言いながら、健二はにへらと笑った。
…そりゃあそうだと思う。
目の前に広がるのは広大な屋敷…標準家庭の一軒家が一体いくつ入るんだってくらいに大きい。
私が生まれて来て死ぬまで、絶対と言い切っていい。
こんなに大きな家を見たのはこの陣内家の家のみだ。
「行くよ、千早」
「うぇあ、…待ってよ〜!」
私は肩に掛かったリュックサックを掛け直して、先に進んだ二人を追いかけた。
…あの、去年のOZの大暴走の一件以来、健二くんと夏希がいつの間にか付き合っていたと言う事を佐久間くんから聞いて早一年…。
私は夏希の大お婆ちゃん、栄さんのお参りがしたくてしたくて、泣き落としで今回の旅行を組んでもらった。
…健二くんが来たのは、夏希曰く「連れてかないと皆うるさいから」らしいけど…
どうせなら佐久間くんも誘ってあげればよかったのにと思わなくもない。
あ、話しがそれちゃった。
つまり、私はなんとしても栄さんのお墓参りがしたくて、この秋休みを利用して陣内家の敷地に足を踏み入れたのです。