★星箱

□夏と言えば
1ページ/1ページ



「夏と言えば!!」


「海!」


「花火!」


「女!」


「……佐久間くん変態さん」


佐久間くんの最後の言葉に私は突っ込んだ。


「だって先輩、男と言えばそんなもんでしょ?」


「ちょっと、俺と佳主馬くん巻き込むのやめてよ!」


瞬間返って来た健二くんの言葉に、佐久間くんは不貞腐れる。


当の佳主馬くんは、太陽に反射してキラキラ光る海を見ながらぼーっとしてた。


夏。夏休み。


夏休みなのだから遊ぶ。


そんなワケの解らない理由から。
私、佳主馬くん、夏希、健二くん、佐久間くんは海にやって来た。


直美さんの知り合いに、海の家をやっている人がいて招待して貰った。
と言う事で直美さんも居るのだが…


「私、焼けるのヤだからパース」


と言って海の家でゆっくりしている。
帰りは利一さんが運転してくれるらしく、利一さんも直美さんと一緒に海の家でゆっくりしている。


「さー、海よ海!泳ぐわよ〜!」


張り切る夏希とは反対に、私はそわそわとしていた。


「……はぁ」


「ん、どうしたの?千早さん。」


そんな私を、心配そうに見ていた佳主馬くんが駆け寄る。


「……絶対、笑わないでね」


「は?」


それだけ言うと、私は夏希と共に女子更衣室へと入って行った。


……そう。水着に着替える為に。


ーーーーーーーーーー


「なにシケた顔してるのよぅ」


隣で着替え始めた夏希に、私はため息をつく。


「だって…ダイエット間に合わなかったもん」


言いながらお腹に付いた駄肉を突く。
夏希は「どう見ても皮じゃないの」と厳しい。


私にはどうしてもお肉にしか見えないのに。


「…うぅ。」


そうこう言っても仕方ないのは解っていたので、私も水着に着替え始めた。


出発の三日前、夏希と買った新しい水着。


…何故か始めてのビキニである。


夏希曰く「大学生になったんだから、大学生デビューよ!」らしいけど…これ布の面積狭くない!?
そんでもって上に何か羽織るの禁止だなんて……どうして最近の人は露出を好むんだろう。
私は去年着ていたキャミソールタイプの水着で充分なのに…。
……ちょっとキツかったけど。


そんなこんな考えながら着替え終わり、夏希と共に三人の待つ海岸東の岩場へ向かう。


三人はもう到着していた様で、私達が到着すると同時に驚いた様に振り向いた。


「おっまたせ!」


「待たせちゃってごめんね…」


二人して走って向かうと、ツカツカと走って来た佳主馬くんが羽織っていた上着を私に被せた。


「えっ?」


驚いてしゃがみ込んだ私に、佳主馬くんが顔を赤くして呟く。


「……見せたくないな」


「…え?」


「夏希姉ちゃん、俺達別行動ね。
向こうの砂浜に居るから。」


「……え?あれ?」


「千早さんこっちこっち」


私は半ば引き摺られる様に夏希達と離れて行った。


「…あーあ、連れてかれちゃったぁ」


「そうですねぇ」


「さすがキング!」


三人は苦笑して、二人の消えて行った方を見た。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ