★星箱
□モテないでっ!
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私が夏希の携帯にメールしたのは、今日…女の子にとっても男の子にとっても大事なこの日。
バレンタインの日に関する問題である。
2/14.聖バレンタインデーは、チョコレート会社にとってただならぬ利益を生むハッピーデーである。
女の子は気になっている人に。
男の子は貰えるかどうかそわそわする日。
今日まで私はあまりこの日に頓着しない方だった。
好きな子なんて居なかったから、友達に渡すチョコだけを作っていたし。
数年前から出来た彼氏である『佳主馬くん』だけにはちゃんとした物をって、3日前から準備していたくらいだけど…。
「だからって…私がこんな感情どうなの?」
お酒の酔いに任せながら、私は零した。
佳主馬くんの通う高校が共学だって知ってる。
それだけでこんな…知りもしない女の子に嫉妬してるとか…。
「もー…なんでこんな事しか思いつかないの私ってば!!
最低だようっ!!」
「まあまあ…それにそれって普通よ〜」
夏希が私の頭を撫でながら、残っていたビールを飲み干す。
「だって…佳主馬くん恰好良いもん。
それに、キング・カズマだし…。」
「それは周り知らないはずでしょ?
佳主馬だってそう簡単にもらさないわよ。」
「でもぉぉぉ…」
すっかり出来上がっている私を見て、夏希は笑う。
「佳主馬くんが、他の女の子からチョコを貰うのが…あんまり良い気がしないのよぅ。」
「んー、見事な嫉妬ね。お見事!」
拍手した夏希に「そう言うんじゃなーいっ」と吠えかかる。
…最近ますます背が伸びた佳主馬くんは、高校生の平均身長を楽に越えている。
170センチまで伸びた彼の姿をを想像して、私はお酒の力とは別の意味で赤くなる。
「佳主馬くん、学校休まないかなあ…。」
「あんたが言えば休みかねないわよ、あの子。」
「でもそんなのダメっ!」
「どっちよ」
また夏希が笑う。
…解ってる。そんな事無駄だってくらい。
でも…佳主馬くんが他の女の子からチョコレートを受け取っている所を想像したら…。
「やだよぅ」
涙が出て来る。
ああ…私はこんなにも佳主馬くんが好きなんだなと実感する。
それにぎょっとして、夏希はOZにログインする。
…多分佳主馬くんを呼ぶんだろうなとなんとなく想像がついて、私はそのまま涙を流す事を躊躇しなかった。