★星箱

□寂しいの。
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「…えっ、OZの中でデート?」


電話だと言う事も忘れてつい大きな声で言ってしまった。
それに苦笑しながら「そうだよ」と佳主馬くんは返した。


「どうしてOZの中なの?会おうと思えば会えるでしょ?」


それが疑問でならなかった。
先週会ったばっかり…だから?
でもそれでも、私が会いに行くのに。


一応バイトもしてるし…お金に対しての心配はあんまりない。
佳主馬くんのファイトマネーに関しては…あれだけど。
それか佳主馬くん、なにかOZの中で何かしたいのかな?


「この前言った事、覚えてる?」


「この前?…どれ?」


私が苦笑しながら言うと「えっと…」と前置きした。


「俺…いや、キング・カズマの事だけど。
最近ストーカー被害を受けてるってやつ。」


「あぁ…そう言えば聞いたね。」


前回会った時に零してたなぁと心の中で呟く。
て言うか。そんなに酷いの…?


「それでさ、なんでOZの中でって言うかなんだけど。」


話してくれるんだと思い、私はつい身構える。


「まず一つ。そのストーカー、どう掻い潜ったか知らないけど。
俺の周りにも現れてるんだよね。」


「ウソ!」


私はまた声を上げた。


…OZのセキュリティって完璧なんじゃないの!?
そりゃラブマシーンの時はアレだったかも知れないけど…。


「か、佳主馬くん大丈夫!?怪我とか…身の回り…。」


「今は大丈夫。…だから、無闇に千早と会えなくなっちゃったんだ。」


「そんな…佳主馬くんの体の方が大事でしょ!?」


そう必死に言うと、佳主馬くんは笑いだした。


「なっ、なんで笑うのよぅ」


「だって千早、面白いよ!普通…自分の心配するでしょう?」


「しないよっ!私の事より佳主馬くん!!
…絶対に、怪我なんてしないで。
私に何か出来る事があるなら、なんでも言ってね!」


佳主馬くんは一瞬黙る。


「そう言う所、本当に好きだよ。
だから…会うのはしばらくOZの中だけ。
実際に会ったりすれば…千早に迷惑かけちゃうからね。」


「私に迷惑なんてかからないよ?」


「かけるんだよ、向こう側がね。」


いきなり冷たくなった声色に少しだけ驚く。


「だから…ちょっとだけ待ってて。
OZのセキュリティ会社とか警備会社と連携してそいつとっちめるから。」


最後のがちょっと面白くって、私は少し笑ってしまった。
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