雪見る運命
□嵐の夜に
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さてどうしたものか。
最近は街で物騒な事件が続いているし、あんまり外で遊ぶ気が起きない。
雪美は単体でも恐ろしく強いからいいけど、この前の二人とか暴漢に襲われでもしたらヤバイだろう。
「とか思ってると会ったりするんだよなあ」
視界の端に短いツインテールの少女を発見する。少し暗くなってきているのに独り歩きは危ないだろうに。
「あ、早速変な男に声かけられてる」
なんか最近ソシャゲの美少女ゲーで見たことある格好してる。
金髪にピアスにイレズミに革ジャン……パーフェクトすぎるファッションに軽く笑いがこみ上げそうになる。
「やめなよ、嫌がってるだろ?」
こみ上げる笑いを精神力で堪えつつ、俺は男に言い放った。
目は笑っていなかったが、確実に顔は笑っていたような気がした。
見た目の笑いがこらえきれていなかったのである。
「氷室さんっ……?」
智絵里ちゃんはほっとしたようで何か困惑していた。
完全に俺が笑っているが眼は据わっているせいだろう。
ぱっと見ただの危ない人だ。
「っぷ……」
笑いを堪え切れずに声が出てしまった。
堪らず膝をついて笑い転げる。
「金髪ピアスだけならともかく……刺青に革ジャンまでとか何時の時代の人だよ!」
爆笑しながら男が逆上するのが見えた。でも笑いは全く止むことはなかった。
「ふっざけんなあ!」
殴りかかってくるのが見えたから、軽く体をズラして掌底を顎に叩き込んだ。