日常の外側
□修復不可能領域
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※アンケより、『佐助と小太郎の夢主取り合い』
※佐助目線
「あ、」
「すぴー…すぴー…」
既に全員寝付いた子の刻、ふと目が覚めてりびんぐに降りたら、佐和ちゃんが寝息をたてていた。
俺らに気を使ってか、それとも覗き防止かは知らないけれども、佐和ちゃんはいつも俺らが寝た後に風呂に入ってるらしい(いつもは寝てるもん俺。ホントかどうかなんて知らなかったんだなこれが)。
着替えて風呂から出て部屋に行く前に力尽きた…ってとこかな。風呂上がりで顔の火照ってる佐和ちゃんの可愛いこと可愛いこと。
あ、言っとくけど俺襲ったりなんかしないよ?紳士だし。…真田の旦那に殺されかねないし。佐和ちゃんに嫌われちゃったりしたら俺困っちゃうもん。
「…ま、いくら夏とはいえ、こんなとこで寝かせるわけにもいかないよねーっと」
この眠り姫さんを、部屋まで運んで差し上げますかねー───
─バシッ
そう思って手を伸ばした矢先、その手を払われた。
払ったのは佐和ちゃんじゃない。風魔だ。
「…まーたアンタかよ。俺様が佐和ちゃん運ぶから、お呼びじゃないんだよねー…とっとと寝たら?」
「……お前の出る幕は、ない。邪魔」
「…ほんっと苛つく奴…」
間に眠っている佐和ちゃんを挟み、睨み合う。こいつとは絶対に馬が合わない。合わせる気もない。むしろ合わせたくない。
後から出てきたくせに俺の仕事奪って佐和ちゃんに取り入ってさ、ホント腹立つ。朝起こすのもお茶入れるのも俺の仕事だっていうのに。
今だってさ、先に見付けたの俺なのにでしゃばってきてさ、あー苛々する。
「とにかく、佐和ちゃんは俺様が運ぶから」
「…出る幕はない、と言っている。邪魔。…とっとと去れ」
「何様だよ、第一何でアンタここにいるんだよ」
「それは、此方の台詞だ…」
「はぐらかしちゃってまあ…俺様はただ目が冴えたからここに来たらたまたま佐和ちゃん眠ってたんですー」
「…チッ」
「何その舌打ち」
「…理由が同じというのが、気に入らない」
「うっわ、マジかよ。俺様だってアンタと理由同じとか真っ平御免なんですけど」
「…んー…ひとの上でぎすぎすしないでよ…」
「「!」」
突然聞こえた第三者の声。俺らの間で寝ていた佐和ちゃんが寝惚けたような目でゆっくりと起き上がった。
「佐和ちゃん?…大丈夫?」
「んー…別にだいじょーぶだいじょーぶ…ひとりでおへやいけるからー…ふたりともはやくねなくちゃだめ、だよ?」
やっぱり寝惚けてるらしく、眠そうな目でへらっと笑って言ったその言葉に俺様もう色々限界。まあ堪えたけど。
「…んじゃふたりともーおやしゅみ…」
「(呂律回ってない可愛い可愛い可愛i(略))うんわかった、おやすみ〜」
「…御休みなさい」
ふらふらおぼつかない足取りで階段を登っていく佐和ちゃんを見送った後、再び睨み合う。こいつのせいで好機逃した…。
でも夜も遅い、俺らはいいとしても他連中を起こしたりしかねないから、今日はこの辺で勘弁してやる事にした。
…いつかアイツはっ倒す。
去り際に、てれびで見た親指を立てておろす仕草をした風魔を見て、そう決意すると同時に俺も同じ仕草で返した。
毛頭ないよ
(馬を合わせる気も、仲良くする気も、負ける気もね)
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この二人はとことん仲悪いです。