ペット小屋
□肉食兎
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目が覚めると僕はベッドの上で寝ていた。
身体を起こし辺りを見渡した。
あの女の子の香りがする事から彼女の部屋なのだろう。
「あ、目が覚めた?…人化出来るからだいぶ調子よくなったんだね」
部屋の扉が開き、榎子が姿を表した。
彼女の額には熱冷ましが貼ってあり彼女も寝込んでいたということが分かる。
「何日、経った?」
「んー。どの位かなぁ」
「3日だろ?」
榎子の後ろから頭を掻きながら姿を現したのは長躯の男。
190はあるだろうか、やや猫背だ。
「兎野郎、治ったならさっさと出てけよ」
僕を睨みつけながら長躯の男は言った。
「君に言われる必要性を感じないな。ココは彼女の家だろう?君は居候に過ぎない、違うか?」
「てめぇ…」
「ちょっと2人とも…!」
榎子は僕らの間に割って入り僕らを止めた。
「……長いことお前といれば考えてることが分かる、好きにすればいい。おい兎野郎、何かしたらブッ殺すからな!!」
再度僕の顔を見、威嚇するように睨みつけると長躯の男は舌打ちをしてズボンに手を突っ込み部屋から出て行った。
「ごめんね、ライはちょ
っと難あると言うか…」
「ふぅん。あの狼は榎子に執心…みたいだね」
「え、狼ってわかるの?」
「ククク…同じ獣だからね…。ねぇ、榎子、こっち来てよ」
僕は手招きをすると、首を傾げながら僕の目の前に来た。
榎子の手を引くと崩れるようにしてベッドへとなだれ込んできた。
抱き締めて肩に顔を埋めると、擽ったそうに身をよじった。
首筋に舌を這わせるとビクッと身体を震わせた。
ククク…おもしろい。
「ねぇ、僕も飼ってよ。あんな粗暴な狼がいるんだ、良いでしょ?」
「うーん、3匹か…。飼うのは良いよ…貞操の危険を感じるんだけど」
「く、ははは!!……僕が良いって…分からせてやろうか?」
3匹。と彼女は言った。ということは、ここにはいないがもう1匹いると言うこと。
気にくわない。
イライラする。
舌を這わせていた首筋に噛み付くとじんわりと血が滲んで口に血の味が広がった。
「んく、はぁ……ククク、獲物を狩るってこんな気分なんだろうなぁ?」
「う、兎さん…やめっ」
「僕の名前はルイ。…不本意だけど前の主人からもらった名前だよ。改めてよろしくね、ご主人様?」
このあと、あの気にくわない狼クンがやってきて僕と榎子は引き離され、説教を喰らった。
僕は榎子を手に入れてみせる。
絶対だ。
(ちょっとールイいつまで寝てるの?私学校行くからね?)
(僕も行く、榎子にゴミ虫が付くかもしれないでしょ?)
(また兎になってついてくるの?!)
(うん。ライクンといたくないし)
(ルイ、てめぇ……!)