小説 夢の中

□ソフトキャンディ。
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――文化祭の準備日のことだった。

 うちのクラスから2名、隣のクラスから2名の計4名と体育館の倉庫とその周辺の掃除をしていた。

「名無しさんさん、あれはあっちに置いた?」

 準備も終わる頃、隣のクラスの岡野くんが話しかけてきた。

『置きましたよ。これで終わりです』

「ほーいっ」

 彼はそう返事をしたあと、手をパッパ払った。そして、あたりを見渡し、少しソワソワしだしたと思ったら、再び声をかけてきた。

「‥あのさ名無しさんさん、放課後、ちょっとええか?」

『えっ?ああ、うん、いいけど‥部活とかないの?』

「今日は休みじゃけぇ、大丈夫!じゃあ放課後な!」

 彼は、とびきりの笑顔で私にそう言ってその場から去って行った。

 
―放課後―


「名無しさん!こっち!」

 彼は大きく手招きをし、私を誘導してきた。ここは、体育館裏の倉庫の側。昼間一緒に掃除をした場所だ。

『ああっ……あんま大きい声出さんとってよ。恥ずかしいじゃん。』
「なんでよ、ええじゃろ?誰もこんのじゃし」

 そんな、分からないじゃない。もし誰か来たらどうするのよ、もう。
 正直、私はこういうタイプは苦手だ。

「…でさ、はいっ。」
『ん?』

 そんな彼から、あの日、1枚の紙を渡された。

「これはの、わしの極秘のメアドじゃよ!極秘よ極秘!」


 極秘ね… というか、こんな面識のない誰かも分からん隣のクラスの人に、なんでメアドを渡されるのだ?


『ねえ、今日会ったばかりなのに、メアドって……』

「おっ?嫌やった?すまんすまん。じゃけど、わし、名無しさんんこと始めてみたとき、仲よおになりたいなって、思ったんじゃ。わしと、仲よおになりたないん?」

『いやあ、だってさ……』

「じゃっ!今日メールして!」

『あっ!こ、ちょっ!』

 私はコラと怒りたかったのか、ちょっと待ってと言いたかったのかよくわからない返事をしてしまった。

『どうしたらいいのよ…これ…』
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