小説 夢の中

□ソフトキャンディ。
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――

 わたしは帰り道、友達のマユミにメアドの件について相談をした。

「へえ、 名無しさんもなかなかいい男に告白されるんじゃん。羨ましいね~」

『え、いい男?』

 わたしがそう尋ねると、マユミは頷き、続けて興味深いことを話してくれた。

「うん、岡野昭仁でしょ?岡野はかなりモテてるんだよ。その様子じゃ知らなかったんだね」

 そんなモテ男が、何故わたしに馴れ馴れしくしてきたんだろうか。こんな、学力も、顔も平均並みなわたしに。

『わたし、何かしたのかな、岡野くんに』

「ん?何かって何を?」

『うーん、何か悪いこと、それで、メールでお金せびられちゃうかも』

 そう言うと、マユミは口を大きく開いて笑った。

「そんなわけないでしょ~、岡野はね、性格もいいんだよ。ルックス良し頭よし、運動神経も悪くないから女子から大好評なんだよ」

『マユミも好きなの?岡野くんのこと』

 何気なく訊いたつもりが、気に触ってしまったようで、マユミは目を見開いて反論してきた。

「冗談じゃないよ。確かに他の女子から人気はあるけど、わたしは嫌いよ、ああいう奴は」

 嫌いなんだ‥マユミの理想の人って、どんななんだろう?ほぼ完璧な岡野くんを嫌いと言うんだから、完全完璧な人じゃないといけないのかな。

「とにかく、メールは送ったら?せっかく貰ったんだし」

 そうだよなあ、よく考えたらそんな人から貰えるなんて、他の女子からしてみれば凄く羨望な事かもしれない。
 わたしはマユミと別れたあと、家路を駆けた。
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