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□死が二人を別つまで*青黄
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[あーぁ…これまた派手にやらかしてくれたっすね]
[…だんだんエスカレートしていってねーか??]
部室はひどく荒らされていた
ベンチはひっくりかえっているし救急箱はぶちまけられテーピングがあちらこちらいっている
ロッカーの中もぐちゃぐちゃにされててなかでも黄瀬のがひどいありさまだった
[これ赤司っちが来る前に片付けておいたほうがいいっすかね??]
[いや、既に遅いわ]
[なんの騒ぎだ]
部室前につくっていた人混みが一瞬にして真っ二つに割れる
その間を普通に通り抜ける赤司
[…またか]
[これはひどいよ、窓まで割れてるしー]
[誰なのだよ、こんな下らない事するのは]
ぞろぞろとキセキの世代と呼ばれる皆が入ってくる
[っ、これ、黄瀬君のっ!!!]
黒子がユニフォームらしきものをとる
めっためたに切り込まれていたが辛うじて黄瀬のナンバーが見える
[あちゃー、こりゃやばいっすわ]
隣にバスッシュもあったがペンキのようなもので汚れている
[近日試合とかないみたいだし、ユニフォーム買えば間に合うっすよね??]
[…あぁ]
あからさまに黄瀬のものが多く荒らされていた
[涼太、誰かに恨まれるようなことしてないだろうな]
[…っえ!!!???んなことする訳ねーっすよ!!!]
そそくさに片付けを始める黄瀬
テーピングを一つずつ回収しながら救急箱へいれる
[―いっつ!!!]
割れた窓ガラスの破片で指を切ったらしく血が垂れている
[なにしてんだよ、バカ]
[そこはガラスが多いから危ないのだよ]
[あははは、ちょっと血流して来るっす]
すぐ部室をぬけだし外にある水道場に向かった
[…これどう考えても黄瀬君に恨みがある人の仕業ですよね]
最初に黒子が口を開いた
[誰だか知らんが甚だムカつくのだよ]
[黄瀬ちん可愛そうー…]
[犯人は誰であれ許さん]
キセキの世代全員が目に炎を宿した瞬間だった
[俺ちょっと黄瀬のやつみてくるわ]
救急箱を手に取る黄瀬の所へむかった
水道場には黄瀬の姿が見えた
[おい、黄瀬]
[っ!!!]
青峰の声に体が跳ねる黄瀬
すぐ顔を背け手で顔を拭う
[…ないてん、のか?]
[…っ青峰っちには、関係ないっす…]
[関係ないね…]
黄瀬の腕をガッと掴み顔を近づかせる
[馬鹿が!おめーは俺と同じバスケ部だろうがっ、メンバーが苦しんでる時支えんのが普通だろうが!!!]
[っ!!!]
[…悩んでるなら言ってくんなきゃ、わかんねーんだよ]
[あ、おみねっちぃ…]
その時あげた顔には涙を手で拭ったであろう血がこびりついていた
目にはいまにも溢れだしてしまいそうな涙を浮かべていた
ギュッと体を寄せてくる黄瀬
青峰のシャツを握りながら声を殺してなく
[…いまはっ…まだ、いえねー、すけど凄く辛くて…つら、くて]
そんな黄瀬をなんも言わずただ抱いているしか出来なかった
こいつは俺らより重い何かを抱えているらしい…
5分程して落ち着きを取り戻した黄瀬
[っぁ、青峰っちの服が!!!]
[ァ??]
[すいませんっす!!!]
手形がついたかのように青峰のシャツに残っていた
[んなもん、洗えば取れるからいーんだよ。それより手だせ]
問答無用で黄瀬の手を奪い消毒と包帯をする
[よし、これで終わりだな]
包帯を巻き終わるとすぐ立ち上がる
[その怪我でできんのか??]
[さ、さぁ…できるすかね?]
[さぁな、とりあえずいくぞ]