音感反射神経

□鬼神
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行く先も特にないけれど、己の作り出した世界を散策する。
でも、散策し始めてもう三時間か…
……飽きた。

でもまぁ、もうすぐ面白いことが起こるから少しだけの我慢…

あっ、ほらもう来た。

「MZD!てめぇどーいうつもりだ!」

僕の名前を呼びながら、紅色の瞳をギラギラさせながら走ってくる君。

敢えて、君が走って来る反対方向に向かって歩き出す。

「どーいうつもり?んー…愛の力試しかな?」
そう答えながらも、歩みは止めない。
「はぁ!?訳わかんねーよ!」
追いついて、回り込みそう答える彼。
そりゃそうだろう。あんな事の答えに、愛の力試しだなんて理解出来なくて当然だ。
「解らないで当然。」
返事をしつつ、やっと歩みを止め彼の目を見る。

「だって、神(オレ)の気紛れでしただけだし。」
それを聞いて、少し怒った顔になる彼。
「気紛れって…お前、自分が何したかわかってんのか!?俺が死んでたらどうするつもりなんだよ…!」
それ、80人の殺人快楽主義者に囲まれて、生きて帰った君が言う事かい?
でもまぁ…ほら、
「大丈夫だよ。」
「何が大丈夫なんだよ…」
「だって、神に愛されてんだぜ?絶対に、大丈夫だよ。俺が、守るし。」
なんて、真顔で言ってみる。
少し目を丸くして固まる六。ああかわいいなぁ。
「少しだけ、意地悪したくなっただけだよ。ごめんね。」
言いながら、六を抱き締め撫でてやる。
「…は?…神、が、愛す?…俺…を?え?えっ?」
もう…そんな豆鉄砲食らった鳩みたいな顔するなよ、六。
でも、かわいいなぁ。
体を離すと、まだ混乱してる六。
じゃあ少し、普通の愛情表現もしてみますか。
「ろーく、ほら固まってないで。」
その柔らかな唇に、自分のを押し付ける。





狂った神と狂った鬼


(全てを作り、憎んだ狂神は、愛に飢えた狂鬼を愛してるんだ)

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