小説/銀魂

□駄文
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土方の私宅にある庭に立ち、真剣な面持ちで柄に手をかける高杉。

警察の家とテロリスト。どうやら修羅場のようである。

「行くぞ高杉!!」
これまた真剣な表情をした土方が小さな窓から高杉に向かって白いかた…大根を投げた。それも凄い勢いで。
投げられた大根が間合いに入った瞬間、高杉の腕が動いた、気がした。気がした、というのは動いたと思った高杉の刀は鞘に収まり、代わりに高杉の手に大きなザルが持たれていたからだ。
ザルにはストストっと小気味良い音を立てて輪切りにされた大根が落ちていく。丁寧に皮まで剥いてある。
「高杉ぃ!それ持って来てくれー」
土方が台所から声をかけると高杉がおぅ!と返事をした。

何故こんな珍妙なことになっているのか説明しよう。
いつもの如く私宅に上がり込んできた高杉と昼飯を食べようと台所に向かった土方。その土方に高杉がついてくる。愛する妻(仮)に負担をかけさせるわけにはいかないという良くできた夫思考からである。
だがしかし、高杉のこの気持ちが土方にはありがた迷惑だった。生まれがお坊っちゃまの高杉には料理ができるわけがなく、以前手伝ってもらったら自分の隣で小火(ボヤ)が起きたのだ。
それ以来土方は高杉に火元を任せなかった。代わりに、彼の刀さばきを生かしこうして野菜を切らせている。高杉自身は火元から厄介払いされたことに気付かずいつも上機嫌であるが。


「土方、次はなんだ?」
嬉しそうに訊いてくる高杉に、こいつがテロリストだから世界は平和なんだとため息をつく土方だった。
 

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