小説/銀魂

□残念文
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「痛っ」
台所から声がした。恋人の様子を見に行くと、左手の人差し指から少し血を流し顔を歪めている土方がいる。
「切ったのか?」
心配そうな声で高杉が問うと、ちょっとだけだと土方が答えた。
すると、おもむろに土方の左手首を掴んだ高杉は
「舐めときゃ治る」
と言いながらぺろり、と人差し指を舐めた。人差し指から流れるピリッとした痛み。それに眉を潜めながら土方は空いていた右手で高杉の顎を押した。
「何舐めてんだ!!舐めときゃ治るっていつの時代の人間だてめえ!!口の中ってのはなぁ雑菌だらけなんだぞ!!!それで傷口を舐めるとか…俺を病人にする気か!!第一なぁ俺の指だって綺麗とは限んねぇんだよ!!!ましてや血なんて!!それを舐めて体内に入れるなんてどういう神経してんだお前!だいたいなぁお前はもうちょっと衛生面に気をつけるべきなんだよ!帰ってきたら手を洗え!!少なくとも俺ん家ではだ!わかったか!!!」
「あ、はい…」

流れかけた甘い雰囲気を吹き飛ばし、もの凄い剣幕で捲し立てる土方に大人しく返事をするしかなかった高杉であった。


『ほんとならあのままコトに及ぶのに…』

世の中そう甘くはない
 

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