小説/銀魂

□今頃は
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最近街中でニコ中マヨラーを見かけない。別に見たいわけじゃないけど、今までなんでというくらい会っていたのに。何か大きな捕り物でもあるのか。
ま、俺には関係ないか。

いつものようにパチンコ行って(別にいつも仕事がないわけじゃないけど)すっからかんになって街を歩いていたら、ドS皇子くんと鉢合わせた。
「あ、旦那じゃねぇですかい」
「よぉ」
お互い挨拶とも言えないものを交わす。一瞬目の前の少年…いや、青年か。彼の瞳が揺らいだ。
「そういやお前らんとこのマヨラーはどうした?最近見ないけどたまたま会わないだけ??」
とりあえず聞くだけ。これで答えなくても構わないし。
沖田くんは眉を寄せた後、少しだけ俺を探るように見てきた。なんか俺、疑われてる?
「事件とかなら解決してやってもいいぜ。金さえ払えばな」
仕事の話に移して言外に俺は無関係だと伝わる。
沖田くんは黙ったままだ。引き上げるかと体の向きを変えたら、ベルトを引っ張られて路地裏に引き込まれた。
「う゛…っ」
もうちょい丁寧に扱ってくんないかな…リバースしちゃうよこれ。
「ちょっと沖田くん?路地裏に銀さん引き込んじゃってどうしたの?まさかそっち?そっちなの?悪いけど俺結野アナと婚約するから諦めべっ!!」
痛い。
顔面掴まれて壁に叩きつけられた。後頭部めりこんでる。壁にめりこんでるよ!!!
「気持ち悪いのはその頭だけにしてくだせぇ。万年無職の変態パーマ」
痛い。
心が痛い。特に変態パーマが痛い。変態パーマじゃ略したら変パ?違う俺のは天パであって変パじゃ…
「土方さんがいなくなりやした」
唐突に言われたことに頭が動かない。
「え、いなくなった?」
「いなくなったというか、多分」
沖田くんの歯切れが悪い。
「誘拐。その線で俺達は調べてやす」
ゆうかい?鬼の副長ともあろう彼が?
「なんだってそんな」
「土方さんを最後に見たって情報があった路地裏付近にライターがあったんです」
ライター。土方のはマヨネーズ型だからすぐわかったんだろう。沖田くんは苦々しい顔をして続けた。
「真選組の副長が不在だなんてバレたら事なんでこの事は内密にお願いしやす。もう情報が回ってるかもしれやせんが」
最後に、土方を見つけてくれたら金は払うと言い、通りへ出ていった。
1人残った俺はその場で犯人に目星をつけようと考えたけど、只でさえ敵の多い土方だ。情報の少ない俺には分からない。


いい加減こんな暗いところから出ようと一歩を踏み出した時だ。
背後から気配を感じた。この感じは、多分っていうか絶対あいつだ。もしかしてずっとそこに居て気配隠してた、とか?ったく質悪い。
気付けなかった俺も落ちたもんだな。

「よぉ銀時」
ひょうひょうと言うこいつにむかっとする。
「んだよ高杉」
「噂の鬼の副長さん、今不在なんだって?」
やっぱ聞いてたか。
「さぁな。俺は関係ないから分からないね」
知ってても教えないけど。
「ふーん」
その全てお見通しって目がムカつく。木刀じゃなくて真剣持ってりゃ良かった。
「知りたくねぇの?―――瞳孔開いた黒い猫がどこにいるか」
ためてから言われた言葉に身が凍った。

沖田くん
「てめぇ…土方をどうした」


沖田くん、もしかしたら
「まだ、生きてんのか?」


「生きてるぜ」


土方は
「今どこにいるんだ」



「関係ないお前には言えねぇな」

「それにあいつは今、俺が」




帰ってこれないかも
「調教中だ」
 

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