小説/あまつき

□tie〜魅せ方〜
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「あー疲れた!!学校長の話ってのはどうしてこう長いんだろうね」
「全くだ。つってもお前はほとんど寝てたじゃねぇか」
「あはは…」

入学式と各々の学部のオリエンテーションを終えて帰宅中の鴇時と紺。配布された資料にカバンは悲鳴をあげているだろう。
時刻は午後1時30分を回っている。強くなる腹の虫の要求を無視することは難しくなってきた。

「篠ノ女ー」
「ん?」
「昼飯どうする?」
「あー、どっかで食うか俺ん家で食うか。どうする?」
「篠ノ女ん家ー!!ご馳走しろよ!」

当たり前のように篠ノ女の家に行くと答えた鴇時に、心地好い春風を感じながらはいはいと紺は答える。


昼過ぎのこの時間、肌寒かった朝に代わり太陽が力を出し始めていた。


会話が途切れ、周りの音を聞きながら2人は歩き続ける。ふと紺の右手が首もとに移動するのを視界の端で捉えた。何をするのかと鴇時は視線だけを移す。

首もとに添えた手でネクタイを弛める。


それだけのことだった。
なのにその瞬間だけ鴇時の聴覚は麻痺してしまったらしい。
慣れた手つきと手元を全く見ずに景色を見ている視線に、表情に、平たく言えば見惚れてしまったのだ。


「ん、どうした?」
いつの間にか視線だけでなく顔ごと向けていたらしい。紺が訊ねてきた。
「へ!?いや!何もっ」
焦りと恥ずかしさで顔を赤くして答える鴇時。

1、2、3
とたっぷり間をおいて、紺がふーん、と呟いた。そして弛めたネクタイを軽く持ちながら言う。
「惚れ直したか?」


「別に!」
即座にそう言い放って鴇時は歩を早めた。いかんせん顔は赤いままだが。


『かっこいいとか言ってやんないんだからな!馬鹿!!』





*****
tie続編です^^*!
とりあえず鴇が乙女になってればいいです。
と終わらせる筈だったんですが実はこれ、書き終わったやつ保存する前に消しちゃって書き直したやつなんです…
所々初回と違うので私としては気持ち悪い作品です。最後の馬鹿!!の前とか全く違います…思い出せなかったorz
次からはこまめに保存しようと思います。

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