小説/あまつき

□拍手A
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静かなここは篠ノ女紺のマンション。今は緊張した鴇時と紺が向かい合って座っている。
「鴇、そんなに緊張すんな」
「き、緊張してないもん」
嘘だ。柄にもなく正座なんかしている鴇時が緊張していないはずがない。すっと紺が左手を鴇時の頬に差し伸べると、びくっと鴇時は目を瞑った。
「こら。目ぇ瞑んな」
「だって…」
向かい合って座ってからずっとこの調子である。しょうがないなというように紺は左手ごと鴇時の顔を近づけた。
「目、開けろ…鴇」
囁くように紺が言う。それを聞いて恐る恐る鴇時は目を開けた。そして間髪入れずに紺が動く。
「入れんぞ」
「あ…!」


「〜〜〜っ急すぎるんだよ篠ノ女!」
目を押さえながら喚く鴇時。
「なーに目薬ごときにびびってんだ。普通1人でできんぞ?」
「五月蠅い篠ノ女!」
「五月蠅いとは失礼だな。自分じゃできないって言うからやってあげたのに。それになかなか目開けてくれないしな?」
にやりと意地の悪い笑いを鴇時に向ける紺。うっと言葉に詰まる鴇時。


―数日後
「篠ノ女ー何聞いてんの??」
イヤホンを耳につけながら本を読む紺に鴇時が尋ねる。
「んー?聞くか?」
にやりとまた意地の悪い笑みを浮かべ紺が片方のイヤホンを外した。
『―…。』
『目、開けろ…鴇』
『入れんぞ』
『あ…!』

鴇時の顔は真っ赤だ。
「篠ノ女!あの時の音声撮ってたな!!」
「そうだけど。何?なんか問題でもあったか?」
こともなげに言う紺に鴇時が返せる言葉はない。ましてやその声が情事を思わせる声だからなんて自分の口では言えない。勿論篠ノ女もそれをわかっていての行為だが。
「とりあえず!それ消させてよ!!恥ずかしいじゃないか!!」
と訴えた鴇時に篠ノ女はあっさり
「いいけど」
と。拍子抜けしたが疑いもせず録音を消した鴇時は、篠ノ女がパソコンに音声のバックアップを取っていることなど考えもしなかった。




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すいません。もはや勢いの産物です。珍しく短時間で作りました。
前半エロっぽくなれば万歳だったのに全く・・・ 
まだまだ修行が足りないです。

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