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□風邪っぴきラヴァー
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渚が風邪を引いた。


一昨日の帰り道、突然の通り雨に襲われて、二人してびしょ濡れになりながら渚の家に転がり込んだ
ちょっとしたことで体調を崩す僕を気遣ってくれたのか風呂を先にすすめてくれて僕は事なきを得たけれど、
渚はその間身体も拭かずに僕を待っていたのだ。

まさか使徒が風邪を引くなんてことはないと思っていた僕の前歯を折ってやりたい。
絶対嫌だけど。


そんなこんなで僕は渚の面倒を見ている。
半分くらいは僕のせいだから、っていうのもある。
けど一番は多分、この淋しがりな使徒がすごく心配だから。
全く僕も甘くなったもんだなぁ、なんて思いながら少し熱に魘されている渚を見る。
苦しそうだな、とか思いつつ渚が起きないように気を付けながらそっと額に手を触れる。
熱はかなり高いようで、いつもは低めの体温では想像もつかない熱さだった。
僕の手のひらが渚の汗で湿っていく。

あ、濡れタオルとか必要かな。さっき冷えピタなくなっちゃったし。
なんて思って立ち上がるとちょこんと引っ張られる感触。
斜め下を窺うと半分起き上がりかけた辛そうな渚の顔。

「シ…ンジ、くん…どこいくの……?」

「無理して起きなくていいよ。ちょっとタオル取りに洗面所まで行くだけだから」

「…やだ。いかな、いで…よ」

これは困った。
風邪を引くと人が恋しくなるとか聞いたことがあったけどまさか渚もなるだなんて。

「でも、冷えピタぬるくなってるし、もう買いにいかないとないから、何もないよりは濡れタオルあった方が楽になるだろ?」

「やだ。シンジくん…とい、るの…っけほ」

なんつー爆弾発言をかましてくれるんだこいつは。
しかも無理するから咳出始めたし…。
…はぁ。ほんともう僕は渚にとことん甘くなってしまったらしい。

「わかったよ…。でも、風邪うつったら渚がどうにかしてよね」

「…っ!うん!」


お前、全然元気じゃないか!



後日、僕はシンジくんの愛ある看病のおかげですっきり全快。
ても案の定シンジくんはダウンしちゃった。

「頭いたいダルい熱い食欲ない…」

まぁ、丈夫とは言いがたいシンジくんにうつらないわけがないよね。うん。

「38.7℃だって。すごい熱?」

「すごい熱だよ…ほんとふざけんな…治ったら前歯折ってやる…」

「まぁまぁ、今は寝ときなって!」

僕は普段してもらってばかりであまりシンジくんにしてあげられることがない。
だからちょっと張り切ってたり
いつもの愛の暴言が元気ないのは寂しいけど、

「精一杯看病してあげるね!シンジくん!」
 

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