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□暑だ夏い
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『今日の最高気温は35℃、かなり日差しが強くなりますので熱中症などには十分気を付けてくださいね!それでは、天気予報でした〜』
お昼のニュース番組で日傘をさしてリポートするお天気お姉さんを見送ってテレビの電源を落とす。
「なんだよ35℃って…」
今日はいわゆる真夏日ってやつだ。
夏休みの中盤、クーラーのよく効いた快適空間で外の惨状に思いを馳せたら何だか自分も暑くなってきた。
クーラー点いてるのに。
こんなときに限ってそれしかないのかというツッコミを入れたくなったこの部屋の冷蔵庫にはもうアイスは存在してなくて、そしてそれを買い足すのに肝心な部屋の主は呼び出し食らって外出中。
「ひまだ」
勝手知ったる部屋の中でだらだらごろごろ。
何にしたってひまだ。
宿題は最初の頃に終わらせてしまった。小学校とは違って自由研究とか読書感想文とかポスターとか、面倒な課題がないのは結構楽。
その分ひまな時間が増えたのは誤算だったけど自分から宿題やりたがる奴なんているのかな。
少なくとも僕は違う。やりたくないものはやりたくない。
本当にする事なくてベッドの上でぐでーっとしてたらこないだゼリーの素買ったのを思い出した。
「ひまだし、作ろうかな」
きっとアイツは炎天下の中涼しい顔して帰ってくるんだろうけど、別に僕が食べたいから作るんだし。
ひとりがつまらないとかじゃないし。
頭の中で、ゆるゆるな顔がもっとゆるゆるになった気がした。
笑うなばか。
ゼリーを冷やしながら更にひまになったとまたベッドでぐでーっとしてたら部屋の主が帰ってきた。
「ただいまシンジくんー。もうほんと参っちゃうよね、僕使徒なんだからこんな暑さへっちゃらなのに検査だなんて…ってシンジくん?」
ほんとに涼しい顔して帰ってきた。
予想通りでなんかむかつく。
「…なんでもない。おかえり」
ほんの数時間いなかっただけなのにすっごい久しぶりに思えて何だかまたむかついた。
これはきっと暑いせいだ。クーラー涼しいけど。
「あ!ゼリーだ!シンジくん作ってくれたの?これもう食べれる?」
キッチンからきらきら顔のあほ面が除いた。
君のためじゃないよ僕が食べたいから作ったんだ勘違いしないでよね。って言いたかったけど
「あは、なんか暑いのもいいかもしれない!」
なんて言ってふにゃって笑うから、言葉が詰まって何も言えなかった。
いや、これはクーラーにあたりすぎて喉が乾燥しちゃったせいだ。
てゆかそんなになるまで放っておくなんて何事だ
ばか渚。