日常茶飯事?

□時計
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いつまでも怒っているのは、性に合わないし、大ちゃんはもう、全く気にしていなさそう。
もう、何時も通り…普段は。
だけど、部屋に戻ればあの日に引き戻さられる。悲しい気持ちになりながら、紙袋が私を見つけて心をふるわせる。
これを渡したあの日…

控え室に一番乗りして、大ちゃんが来るのを今か今かと待っている、わたくし、二宮和也。扉が開くたびに振り返ってはガッカリしていました。
こういう、待っています、って時は、なかなか来ないんですよね。あの人は…
「それに巻き込まれる俺たちは、いい迷惑なんだけどな…」
「嬉しそうな顔から一変、鬼の形相に出会すシチュエーションを想像してよ、息の根止まるいきおいだよ」
「俺なんか、その場で石になったかと思ったよ」
「それはメドゥーサだね」
「あ〜、そうそう!そんな感じ‼」
後ろで聞こえるように話す三人はほおっておこうかと思っていたんですが、あまりに癇に障り始めたので、そろそろ息の根止めますか。眼光鋭く振り返った瞬間、三人の姿が固まる。
と、入口の扉も開きそのまま、そちらも見てしまいました。
大ちゃんが石にっ…!
「あぁっ!ゴメンなさい!何でもないんです、大ちゃんには、含みはありませんよ?」
慌てて入口に行って、大ちゃんを揺さぶります。
「うっ…あ、ビックリした。おいら何かしたのかと、ニノ?嬉しそうだね、何かあったの?」
「えぇ、三人の息の根止めましたから嬉しくて…じゃなくて、大ちゃんを待っていたんです」
ふ〜ん、とうなりながら三人をチラリと見る大ちゃん。そしてスルーですか。男前です!
「あのね、プレゼント持ってきたんです」
「誕生日プレゼント?あ、本当に?…貰い物?」
「ちゃんと買いました!」
「へ〜、ありがとう。え?結構大きいね」
石の呪縛が解けた三人は何時の間にか、こちらに来ていました。
「え?ニノ…貰い物じゃないの?」
「ゲームのオマケじゃなくて?」
「懸賞で当たったものじゃなくて?」
あんたらは、私をどう思ってんですか?
「ありがとう、ニノ。開けていいの?」
「はい、開けてください?」
大ちゃんは紙袋の中から包装された箱を取り出すと、丁寧に包装紙を剥がした。安っぽい箱の中から、時計が現れる。
「あ、電波時計じゃん。掛時計」
「デザイン普通だね」
「あんたらは私をどう思ってんですか」
「けち」
「守銭奴」
「人非人」
「極悪非道」
「悪魔」
今、一周して二つ言った人がいましたね。ってか、大ちゃんまで加わらなくてもいいじゃないですか!
「「「「でも、だいすき!」」」」
「悪魔でも、好きなんですね?」
ふふっ。ならば、許しましょう。今後の扱いについては、文句は言えませんよ、君たち。
四人集まって震えてる。コントか!
「それより、時計セットしましょうよ」
「電池は?」
「入っている筈ですよ。買っときましたから」
電池を入れて、机の上に置く。針がひとりでに動いてゆく。
「おぉ〜〜〜〜〜、回ってる〜」
「いつ止まるの?」
「電波拾ってる?ここいっぱい電波あんじゃない?」
「AIBA電波拾ってたら、絶対合わないな」
「ちょっと、どーゆー意味かな?それ」
「NINO電波は…うっ!」
妙な事を言い始めようとしたモノは、わたくしの電波で瞬殺。
「も、仲よくしろよ」
「やだなぁ、嵐は仲いいデスよっ」
翔くんの亡骸を無理やり起こして腕を組みます。
なかなか合わない時間に、収録が始まってしまいました。全ての収録が終わり、控え室に戻って時計を見ると、バッチリあっています。
「朝起きて直ぐに見られる場所に飾るよ」
と大ちゃんはわたくしに嬉しい言葉をくれて、帰って行きました。
メッセージカードについては、一言も触れてはくれませんでしたが…
というか、気付いていなかったようですね。一番上にあった小さい封筒に…そういう鈍感なとこも好きですけどね。

つい、回想してしまいましたね。我ながら女々しい。
冷蔵庫の中から淡麗を出して、一気飲み。
「…んっ…ごくっ…ふはっ」
もう一缶飲みほしもう一缶開ける。
プシッ
「ごく…ごく…ごくっ…ふ〜〜〜っ」
目の端に紙袋がとまる

『ダメだ。お前の部屋にしろ…壁にかけなくても、置いとけばいいから…そしたら…わかるから』

そういえば、大ちゃん変な事言ってたな?なんだっけ…酔いが回って、ふらふらになって…
「大野さん……ばかやろーっ!もう絶対にプレゼントしたらんっ!」




今朝は早出で、マネージャーに起こして、と頼んでいました。
電話がうるさい位に鳴っていたので、思い出しました。
「ええぇっ、こんな時間?やばっ!」
今日もピンで映画の取材が入ってます。その時間までに知的なわたくしのイメージを作らなくてはいけないのに、あぁ、もうっ!
これも全て、あの人のせいです!



「…ィグシッ‼……寒…ん?」
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