前略 未来のキミ

□NHKの控え室…!
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はじめて意識をたもったまま時を飛ぶのは、ひどく辛いものだった。
回りの風景がものすごく早く動いていくからとにかく目が回るし、気分も最悪…。
場所の移動は自分の意思が重要で、最初、部屋に戻ってしまった。
「NHKの控え室だ、ここじゃない」
移りゆく景色の中、思い描くのは青色の香水瓶。
NHKには着いたけど、時間が早すぎたためみんなが帰った直後の部屋に入った。
おいらがいる。
あのときのおいらが瓶を開けて、倒れた。そして、消えた。過去に戻って行ったんだ。
少し待つと、倒れた瓶を戻す人がいた。
「捕まえたよ。相葉ちゃんを返して?」
ニセモノ相葉ちゃんは驚いたようにおいらを見る。おいらはニセモノの服をしっかりとつかんだ。
「いま消えたのは、リーダーだったんだね」
あれ?なんか、さっきと違う?
「ここに来いって言ったのはキミだろ!…どうしたの?」
「俺が?そう…ところで、時を飛ぶのは何回目?」
さっき話したじゃないか!
「三回だよ!」
「何の助けも借りずに?」
「たすけ?…そんなもの知らない。ねぇ?キミを捕まえたら、相葉ちゃんを返してくれるって言ったよね?」
ニセモノはため息ついておいらを見る。あの目で…



「俺にリーダーとの会話の記憶が無いから、その話をしたのは未来の俺だと思う」
「えぇ?なに?わかんないよ!相葉ちゃんはどこなの?」
何なんだよ!わけわかんない!
「返して欲しいの?」
「当たり前だろ!」
「じゃあ、代わりにリーダーが欲しいな」
「なっに言って!…俺になりすまして生きるってこと?」
「そんな事できないさ。俺に変身能力があるわけじゃないからね」
「え…え、と、じゃあどういう意味?」
ニセモノ相葉ちゃんは前みたいに、おいらを抱きしめた。
「言葉通り、サトシが欲しい」
また、あの瞳…
「それは無理だよ…キミが見てるのは…おいらじゃないもん」
瞳を開いて、はじめておいらを見る。
「そっかぁ〜、俺、リーダーの事見えてないんだ」
悲しんでるニセモノ相葉ちゃんが、かわいそうで背中に腕を回して抱きしめた。ふんわり温かい。相葉ちゃんとおんなじ。
「…それでも、やっぱりリーダーが欲しいな」
ニセモノ相葉ちゃんはそういうとおいらのうなじあたりの首を右手で捕まえる。唇をあわせると、舌とともに何かをおいらの口にいれた。ジュースの時の苦味が広がり吐き出したいのに、ニセモノ相葉ちゃんのせいで出せない。
そのうちすべてを飲みこまされて、おいらは意識を無くした。



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・・・2013.04.07 15:32
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