〜稲刈りを手伝って下さい〜

□〜稲刈りを手伝ってください〜
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まごまご嵐

綺麗に区画された、見渡す限りの黄金色。
稲が実って首を垂れている。
『今日の孫は、何処かな〜?』
カメラが横にずれると、農業用水路の渕から大野、相葉の二人が飛び出して来た。
「「ここだよ〜」」
ニッコリ笑って大きく手を振る二人。
と、笑ったのも束の間、相葉がバランスを崩して、お尻から元の水路に戻っていく。
「うわーっ」
カメラはボッチャーンと落ちる相葉を映している。
大野はそんな相葉を振り返ると、笑うでなく心配そうに見る。
「相葉ちゃん、濡れちゃったね。着替えある?」
大野、スタッフに尋ねた。
「バンの中に幾つかあるはずだけど、パンツまではないかな?誰かその辺で買って来てよ」
スタッフの一人が車に乗りこむと走って行った。
「相葉くん。悪いんだけど、待ってられないからノーパンで撮影するからね?」
「えぇっ?マジ?」
「まじです。ズボンは履いてよ?」
情けない顔を浮かべる相葉の肩を大野は叩いた。
「髪、濡れなくて良かったね」
「ほかになぐさめの言葉ない?」
「なぐさめてほしいの?」
「うん」
「早く着替えて来な、風邪ひくよ」
「リーダー。つめたい〜」
「濡れてるもん、冷たいでしょ?」
「つめたい〜」
相葉はしょげた様子で、着替えるためロケバンに歩いて行く。

撮り直し。

綺麗に区画された、見渡す限りの黄金色。
稲が実って首を垂れている。
『今日の孫は、何処かな〜?』
カメラが横にずれると、農業用水路の渕から大野、相葉の二人が飛び出して来た。
「「ここだよ〜」」
二人はニッコリ笑って、小さく手を振った。
大野は視線を彷徨わせて、相葉を見ない様にしている。
画面に向かって満面の笑みで聞く大野。
「今日は、なにするの〜?」
相葉大きく手を広げて背景の田園を指す。
「この田んぼを見てわからない?…今日のお手伝いは、稲刈りです!」
「お手紙読みます!こんにちは、嵐のみなさん。私のおじいちゃんはお米を作っています。もうすぐ稲刈りです。私の代わりにお手伝いしてください、お願いします…という事で、やってきました〜!」
相葉の読み上げる声に、ほー、とか、んー、とか相槌をうつ大野。
その間も相葉を見ないようにしている。
ずっとバストアップで撮られた映像の下で、相葉の足はひざのあたりをモゾモゾと動かしていた。


大野と相葉の二人はある御宅の庭に入って行く。
小さいけど立派な日本庭園に、二人声を失くしている。
その庭の池の前でおじいさんとおばあさんが和やかに立っている。
「いらっしゃい、今日は宜しくね」
「「こんにちわ〜っ」」
「雅紀で〜す」
「智です」
「「今日は頑張りま〜す」」
揃って敬礼をした。

「「何します?」」
つなぎの作業着に着替えた二人は、おじいさんにきいた。
「雅紀くんは運転免許持っていたね?」
「はい」
「じゃあ雅紀くんにはこれで稲刈りしてもらおうか?」
おじいさんは稲刈り用の大きなコンバインをトンと叩いた。
「えっ、動かして良いんですか?」
「勿論、公道は走っちゃいけないよ。田圃に降ろして、やり方教えてからね」
おじいさんは豪快に笑う。
おじいさんの担当が相葉なら、おばあさんの担当は大野。
「俺は?」
大野は自分を指差しながら、おばあさんに話しかけた。
「智くんは、おばあちゃんと一緒に、稲刈りでとっても大切なお仕事よ」
「大切?」
「そうなの」
おばあちゃんと大野の二人は、おばあちゃんの運転する軽自動車に乗り込むと、田圃に向かった。

「でっかいなぁ〜」
大きな田圃の前に、大野は立つと言った。
「これってどれ位あるの?」
「1ヘクタールかな?100mかける100mね」
おばあちゃんは帽子と手甲を着けると田圃の中に入って行く。
すると、少し行った先で何やら作業をし、大野の所に戻って来た。
「雑草を抜いて欲しいんだわ、こういうのね。中に入ってずうっとね」
おばあさんから渡された草を手に持ち、広大な田圃を見渡す大野を見て、おばあちゃんは声を掛けようとした。
「こんなに大きな田圃の雑草を1人で抜いてんだ、たいへんだね。…でもこれなら俺でも出来るよ」
と言い、勢い良く入って行く。
そんな大野をおばあちゃんは嬉しそうに見た。

相葉とおじいちゃんは大野達とは違う田圃に居た。
この田圃は雑草が見当たらない。
相葉はおじいちゃんの運転するコンバインに一緒に乗り込み、操作の仕方を教わっている。
「解ったか?」
「う〜ん、多分」
おじいちゃんは前進するのを止め、エンジンを切ると運転席を空けた。
「じゃあ、ここに座って最初からやってみよう」
「えっ、でも…」
「大丈夫。ちゃんと付いているから。一人じゃやらせないよ」
相葉は安心そうに頷くと、運転席に座った。
おじいちゃんは嬉しそうに頷いた。
「じゃあまず…」

雑草を抜き終わった二人は、相葉達のいる田圃に来ていた。
おばあさんは今は白い軽トラックを操っている。
軽トラックの荷台の部分には幌では無く大きな袋状のものがのっている。
軽トラックの横にはおじいさんが操るコンバインがあり、コンバインから伸びた筒からは刈り取った籾が荷台の袋の中に落ちてゆく。
相葉大野の二人は、軽トラックの荷台にもたれ掛かり、その様子を見上げた。
「リーダーはなにしてたの〜?」
「違う田圃の雑草とりしてた」
「ふーん。 えっ?だってここは草なんて無かったよ?」
「俺達が来る前に抜いといたんだって」
「そーなんだ〜」
「草の種が混ざらないように稲刈り前には綺麗にするんだって」

「大変だね〜」
相葉は雑草の蔓延っている他の田んぼを見て言った。
大野は相葉の視線の先に気付くと慌てて言った。
「あんなにはえて無かったよ?ほんのちょっとだから、早くこっちに来られたんだ」
「そなの?あんな風にはびこってないの?」
大野は雑草蔓延る田圃を指差して言った。
「じいちゃんばーちゃんの名誉の為に言うが、あんなに生えてない!」
しかしこの後半の会話は、雑草蔓延る田圃の持主の名誉の為にカットされた。


軽トラックの荷台の袋に籾がイッパイになると、おばあさんは相葉に話しかけた。
「じゃあ雅紀くん、軽トラ運転してくれる?おばあちゃん案内するから」
「うん。どこ行くの?」
「農協にお米出荷に行くんだわ」
相葉とおばあさんは車に乗り込んだ。
「うわ、俺運転できっかな?」
「大丈夫。まず、まっすぐね」
「はーい、じゃリーダー、いってきま〜す」
「おう」
大野手を振って二人を見送る。
おじいさんが大野を手招く。
「なにやんの?」
「コレに乗って、稲刈りしよう」
「俺、免許持って無いよ」
大野眉が下がった情けなさそうな顔。
おじいさんはまたも豪快に笑う。
「公道走らなきゃ大丈夫だ」
大野、嬉しいさ全開の笑顔。
「ターンする時は代わるからな。まずエンジンかけてみっか」
「うんっ」
大野運転席に座りエンジン始動。
「おぉ」
刈り歯を動かすとゆっくり前進して行く。
「うごいたっ」
カメラは一々リアクションを取る大野を撮して行く。
しかし、その間の笑顔も、勇姿も放映される事は無かった。

おわり


だって〜
コンバインを嬉〜しそうに動かす、智くんを書きたかった、だけだもん。
オチは常に『放送されない』という事なんで、本当のオチが無いんでス。
え?嵐メン後日談っぽいヤツですか?
じゃあ、早生の稲刈り終わっちゃうから、今日はこれでupしますんで、後で頁が増えているかも、です。

今気が付いたんだけど、相葉ちゃんて、免許いつ頃とったの?
もしかして、もってないかも?
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