LIFE is…

□LIFE is…
1ページ/1ページ

キッカケは、リーダーの選出だった。
少年隊さん達の番組で、俺達は智さんをリーダーに押したけど、智さんは「翔くんが」って。
とっても光栄で嬉しいんだけど、俺達の誰かが、智さんを差し置いてリーダーになれるわけが無い。
絶対だ。
だけど、喜ぶでなく、呆然とした智さんをみると、申し訳ないような…。
でも、『東山さん公認』のリーダーとなったからには、誰も文句はつけられないさ。

と、思ったのは浅はかだった。
また俺達は智さんを悪者にしてしまったらしい。
誰も言わないけど、空気が違ってた。
智さん何時もと変わらないけど、
「ちょっと出てくる」
って局の外のベンチに座って、しかもど真ん中で足投げ出して、ぼんやりしてる。
見た目何時もと変わらないけど。
あ、カップルが来て、場所譲った。
そりゃあそうだよね、カップルじゃあ横にズレても気まずい。
ちょい離れた、木陰の芝生に寝転んでる。
眠っちゃう気じゃ無いでしょうね。
しかも、あれ局の借りものじゃん、汚しちゃまずいでしょ。
智さんの私服っぽいのって割りと、地味目な色出されてるけど。
俺はシート代りの大きなストールを持って智さんの所へ向かった。
「智さん、それ局の服だから汚すとやばいっすよ」
地面にストールをふわぁ〜と伸ばして、っと。
あれ、返事がない。
「も、眠ってんですか」
智さん、ゴロンと転がってストールの上に着地。
と、右手がストールをぽんぽんしてる。
可愛らしい仕草だな、とは決して口には出せない。
「触り心地よくないですか。母親のなんで、派手ですみません」
全体の色はダークグリーンなんだけど、赤や紫の花が咲いていて、しかも花がデカイ。
また、右手がぽんぽん。
「横に手をぽんぽんしたら、ここに寝ろって事でしょ。それと、さん付けしてる!」
え、横にって、そんな光栄な。
…では、遠慮無く。
「俺、さん付けしてました?」
ジロリ、睨まれちゃった。
レア顔ですよ、それ。
智さ、智くん、何時の間にか拾った一枚だけ葉がついた、10センチくらいの木の枝を、左の手でクルクル回してる。
葉が大きくまわり、智くんの顔に触るかと俺はヒヤヒヤ。
紙じゃないから切れないとは思うけど、カブれたりしないよね?
こんなトコに漆の木はないか〜。
あぁ、気になる、そのクルクルやめませんか?って、言えないっ。
だから、聞こえなかった。
「…もひとつねぇなぁ〜」
「えっ! 何が?」
俺が大声出して聞いたから、智くん驚いてる。
そしたら智くん、木の棒で空を差した。
俺はクルクルし過ぎて取れた葉っぱを、智くんのお腹の上からつまみ上げて、改めて空を見上げた。
雲一つない青空が広がっていた。
「いい秋空ですね」
「お百姓さんが喜ぶな」
「おひゃくしょうさん?!」
今時言わないでしょうに、可愛いなぁ、もう〜。
「…何でですか?」
「稲刈日和だろう?」
「まだ早いんじゃないですか?」
「8月下旬になったら、早いのは米になっちゃうらしい。新米ってヤツだ」
へ〜、興味無い事って分かっていないもんだなぁ〜。
後で調べてみよう。

「あ〜、いたいた‼ リーダーもしょーちゃんも、撮影始まるってよ〜」
相葉ちゃんだ。
休憩終了。
二人ちょっと残念そうにストールから離れた。
立ち上がった俺はストールをバッサバッサと振って畳む。
「…くしゅっ」
可愛いクシャミだなぁ〜、って‼
「「リーダー風邪っ⁉」」
相葉ちゃんとハモった、ヤバイ。
「いや、クシャミなだけ」
智くんはズズッと鼻も鳴らしてる。
「駄目だよ、しょ〜ちゃん。リーダーあっての嵐なんだからね〜。俺リーダーの代わりできないからね〜」
あれ。一瞬、智くん表情が曇った。
「誰にだって代わりは居ないだろ」
「しょ〜ちゃ〜ん」
懐く相葉ちゃんを無視して智くんを覗き込む。
智くんいつも通りに戻ってる。
「智くん本当に大丈夫?」
「平気だ」
「「ならいいけど」」
またハモった。

局の通路を、相葉ちゃんが俺達を、後ろから温めるように腕を回し、三人でくっついて歩く。
「また〜、仲が良いねぇ」
顔見知りのスタッフさんが話しかけて来る。
「大の仲良しさんでっす‼」
相葉ちゃんがVサインまで出して、元気いっぱい返事を返すと、智くんから苦情が。
…珍しい。
「声デカイ、耳元なんだけど」
「あは〜ゴメンゴメン。じゃあ俺、テッシュ用意して貰っとくねっ‼」
「ティッシュだろ〜?」
「そう、言ったじゃ〜ん」
相葉ちゃんぱっと離れると、一言いいながら駆けて行った。
慌ただしいヤツだ。
「翔くん、ありがとう」
智くんの小さな声が聞こえたけど、聞こえないふりをした。
胸が、痛かった。




自分を強く見せたり 自分を巧く見せたり
どうして僕らはこんなに 息苦しい生き方選ぶの?

目深に被った帽子を 今日は外してみようよ
少し乱れたその髪も 可愛くて僕は好きだよ

風に踊る枯葉 濡れた芝生の匂い
君と寝転んで見上げた何もない空

答えなど何処にもない 誰も教えてくれない
でも君を想うとこの胸は 何かを叫んでる
それだけは真実

むき出しの言葉だけを 片隅に捨てたあの日
その向こうの優しさに 今なら気付けていたのに

凍えそうなベンチ 寄り添う恋人達
幾つもの愛の言葉が生まれては消える

永遠は何処にもない 誰も触れる事はない
でも君が笑うとその先を 信じてみたくなる
手を伸ばしたくなる

答えなど何処にもない 誰も教えてくれない
でも君を想うとこの胸は 痛みを抱きしめる
それだけが真実
la la la la la…



「翔くん、おおちゃんと寝たって?本当!?」
他の三人とスタジオで合流すると、ニノが物凄い形相で俺に迫って来た。
相葉ちゃんを見るとニヤニヤ笑ってる。
「おおちゃん。翔くんに変な事されなかった?」
ニノが智くんの身体を、確かめているように触っている。
「するかっ」
お前のが変な事していないか?
「そういえば、腹触られたかな」
智くんが腹をポンポンしながら言う。
ちょっと智くん?ニノが睨んでるんですけど?
「腹に触らなかったでしょ?葉っぱを摘まんだだけでしょ?」
だから、睨むなって〜!
智くんも冗談はやめて。
「なんもなかったよ」
そうそう。俺は頭を縦にふる。
「空には」
だから、マイペース過ぎるよ。
それじゃ俺、何かしてるって思われるでしょう?
「ズルい!翔くんストール貸して。おおちゃん、今から外行こう」
はぁ?今から?撮影はどうするの?
「風邪引きそうだからもう行かない」
智くんが、丁度、相葉ちゃんからティッシュを受け取り、鼻かんだ後だった。
ナイス、智くん。
あ、やば。違うことで怒られそう。
と、ここで気付いたけど、松潤までニラんでる?
「え〜?俺も横に寝たかったな〜」
やめてくれ。相葉ちゃん、お前まで?
「どっちにしろ、もう撮影だろう?さあ、行くよ」
智くんの鶴の一声だ。しぶしぶそうな返事がした。
「「「…は〜い」」」

撮影は無事終了。
控室に戻った俺等に、マネージャーが明日の予定を確認する。
「明日は雑誌の取材だから。写真は一緒に撮るよ」
するとニノが手を上げて言った。
「明日さ、ゴロゴロ転がった感じに撮ってもらえないかなぁ?」
「さあどうかな?聞いてみようか?」
「お願いします!」
マネージャーが退出すると、智くんが小声で呟く。
「おいら真ん中はやだな」
「え〜?なんでぇ?」
相葉ちゃんが不服そうに口尖らしてる。
「勿論、おおちゃんは端っこですよ?」
ニノが当然という顔をし、俺を見る。何だ?
「だって、向こう側に誰か居たんじゃ、一緒に寝てる感じしないでしょ?だから三パターン撮って貰います。翔くんは今日一緒したんだから、駄目ですよ?」
「え〜? 酷くない?」
「「「ない!」」」
見事にハモられた。
マネージャー再登場。
「確認したら、それでやろってさ」
「「「やった!」」」
大喜びするニノ、相葉、松潤の三人と、いつもの和やかな智くん、面白くない顔の俺を見て、マネージャーはきいた。
「何かあったの?」
「「「なーんにも〜」」」
俺に聞いてんだよ。
何で三人が答えるかな?
ま、いいか。またチャンスはあるさ。


終わり




暗〜く終わるのに耐えられず、おちゃらけました。
台無し?

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ