日常茶飯事?

□ホテルでTVで
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ライブが終わった。
心地よい疲労感と、上がったままのテンションで、食事に行く事になった。
ふふっ。今日はジンギスカン♪
ジンギスカンって、食った事ある?
まん丸い中心が盛り上がってる鉄板の端に野菜を乗せて、真ん中に肉をのせて焼く。
肉の油が野菜にたれて行くように鉄板が作られているんだって。
肉は牛肉じゃなくて、ラム。ラムって、羊さんなんだ。
スタッフが押さえたこの店の肉は、スゴく美味い。
でも、俺って、あんまり食えないんだよね。
その代わり酒の方はのむけどね〜。
「大野さん、飲んでます〜?」
「飲んでますよ〜、当たり前でしょ〜」
スタッフの一人が話しかけてくる。
「大野さん、食べてます〜?」
「食べてるよ〜」
「飲むばっかりじゃあ、だめですからね〜」
「分かってるよ〜」
注意はされても、飲むペースは変わらず。ふふっ。
食事が美味いとこって、酒も美味いんだ。不思議とね。
「あ〜食った食った!もう、入んないや…」
と言って、酒に手を出す。
あ〜、美味い。幸せ〜。



宴会はお開きとなる。
俺たち五人は一緒の車に乗り、同じホテルに入って行く。
バレてるようなんだけど、こっそりと入って行く。
「リーダー、部屋で飲もうよ〜」
相葉ちゃんが声かけてきた。
「いいけど、お茶?」
「まさかぁ!ちゃんと買ってあるよ」
「分かった。待ってるから」
何となく、相葉ちゃんだと俺の部屋かな?と思って応えた。
「みんなは〜?」
「風呂入って寝たいよ」
「無駄に元気ですよね?」
「申し訳無い。やらねばならない事があって、行きたいのは山々なんだ、けど」
「無理しなくていいよ?」
「ごめん‼」
ということは、相葉ちゃんと二人飲み。
「相葉ちゃん、俺、風呂入るからちょっとたってからきて」
「うん。俺も風呂入ってから行くね?」
さて、部屋は汚くはしていなかったよな……?



食事の際にかなりのんでたんだけど、相葉ちゃんが持ち込んだ酒が、また美味いんだ!
「これ、相当美味いよ?」
「そうでしょう?お店イチオシだったんだから!」
「つまみまで用意して、スゴイよ?」
鮭の乾燥したやつなんだけど、包装に秘密があるのか、乾き物なのに柔らかくしっとりしていて、鮭の皮部分のちょっと焦げた感じが特に美味い!
「そうでしょう?お店イチオシだったんだから!」
「なんだ、同じ店で買ったの?」



「あ〜、チョット飲みすぎたかな?二人で一升は辛くね?」
「そうでしょう?お店イチオシだったんだから!」
あれあれ?言ってる事同じだよ。
「お〜い!相葉ちゃ〜ん?どっか行ってない〜?……俺、シッコして来るよ」
「うん、行ってきな?」
あ、戻って来た?
ここのホテルは、いや違うか、この部屋は風呂とトイレが別になっている。どうせ大したことしないから、ちっちゃい部屋で十分なんだけどな。
とか、考えながら用を足して個室を出ると、部屋の照明が落ちていた。
「ん?暗い?」
相葉ちゃん怖いの嫌いだから、この手のイタズラしないはず…
そしたら、どこからか呻き声のような、喘ぐ声が聞こえて来た。
おいおい、やめてくれよ。
「相葉ちゃ〜ん?」
たいして広くない部屋の中、暗い中でも人影があるかないかくらいわかる。
……逃げたな。
相変わらず声が聞こえて…
TVも勿論点いていないし、ヤバイなこれは…
照明をつけ直そうとスイッチに手を伸ばすと、呻き声は完全に喘ぎ声に変わった。
隣かっ?!
いや、このフロアーは俺たちだけだから、そんな事する人はいないはず。
どうなってんだ?やけにリアルなんだけど?
どうやらそろそろクライマックスらしく、声は激しくなってきている。
俺は部屋の電話の受話器を掴むと、フロントを呼び出した。
『はい、フロントでございます』
「すいません、806号室なんですけど」
『はい、806号室様ですね?御用承ります』
「部屋替えて欲しいんですが、出来ますか?」
『お部屋替えでございますか?今日はあいにく全室使用しておりまして、申し訳無いのですが…あの、何かございました?』
「う〜ん、この部屋何か変な声が…あっ?」
「リーダー待って!」
相葉ちゃんが戻って来て、俺の握っていた受話器を取り上げた。
「大丈夫です!解決しました!」
それだけ言うと勢いよく受話器を置いた。
「もうっ!リーダーってば、恥ずかしいなぁ」
「なにが?」
俺は何がなにやら分からず、けど相葉ちゃんは真っ赤になりながらしきりに、リーダーってば、を繰り返す。
「あのね、操作の方法間違えちゃったんだ。…ゴメンね?」
「は?何の?」
「……tv……」
大人チャンネルかっっ!
「自分の部屋でやれよっ!」
俺は相葉ちゃんの部屋の鍵を掻っ攫って、相葉ちゃんの部屋で寝た。



「カード先に入れ込んじゃうと、映像が映らないんだって。チャンネル選択してONしてないから、音声だけになっていたみたい」
「それはもったいなかったね」
「そうだよね?せっかくリーダー好きそうなタイトルだったのに」
「なに?」
「〜〜〜〜ってヤツ」
「あ〜それ?つまらなかったよ。見ないで正解」
「だから、カードは入れなくても、差したままでいんですよ」
「朝も見れたぜ?」
「朝まで、見てたの?」
「違うよ。朝TVつけたらやってたんだよ」
「それで?どうしたのその後」
「だってリーダーどうしても映像がなくちゃやだって言うから…」
「そんな事いってねえ!」
「ワガママですねぇ。しょうがないじゃないですか、お金払っちゃったんだから、聞くしかないでしょ?」
「おれは!見るつもりなかったの!」
「またまたぁ〜」
「だいたい何で俺がいない時に点けて逃げ出すかな?…しかも照明まで消してさ?」
「え?俺、電気消してないよ?」
「じゃあ、誰が消すっていうんだよ?しかも最初、絶対呻き声だったぜ?」
「え?」
「は?」
「そんな…」
「ウソ、だよね?」
「「「「うわーーーーーっ!」」」」
このホテルは昨日で最後だった。
最終日で良かった…


〜おわり〜
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