日常茶飯事?

□汐留トンネル
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今日の収録は年末特番のため、五人の収録時間もバラバラ。
だから、控室も一緒じゃなく個人名が貼られてた。
収録が終わって控室を出ようとドアノブを触ったら、それが突然回った。
ドアは、俺の手を引っ張ったまま外側に開く。
引っ張られた俺は、ドアの外に立つ人物にぶつかりかけた。
「おわっ!リーダーっ」
「松潤か?」
誰か分かったから、そのまま胸に飛び込んでみた。
そしたら、やさしく抱きしめてくれる。
「ごめんリーダー。ノックもしないで開けたから、痛くない?」
まったく、こういうところが紳士なんだよね。
あれ?白いスーツだ。
「リーダー、ちょっとなか戻ってもらっていい?」
「うん?いいけど、もう帰るとこなんだけど?松潤これから撮り?」
部屋のなかの椅子の背を引いてくれるから、座る。その格好で椅子の背を引くなんて、格好つけすぎだよ。
え?しかも、なに?横の椅子に座るでもなく、横に立つでもなく、俺の正面に、んこ座りして見上げてきたぞ。
「リーダーこのまま帰るんでしょ?俺、撮り終わってるから送って行くよ」
何か魂胆があるぞ、これは…
「それでさ。ちょっと夜景を見にいかない?クリスマスの飾りも走りながら見れるからさ?いい?」
完全におねだりポーズじゃないか。それに強制だろ。と思いつつ、微笑んでみる。
「よかった。待っててね、すぐ着替えるから!」
あの、嬉しそうな顔に弱いんだよな〜。
ま、いっか。帰って寝るだけだしね。
暫くすると、着替えの終えた松潤が迎えにきた。
「お待たせ〜。行こうか?」



車に乗り込みエンジンをかけると、松潤はナビを操作し始めた。
ラジオの音が小さく流れている。
「何処行くの?」
「首都高を流してこうと思って…夜景が綺麗そうなとこ」
やけに熱心だなぁ。後で彼女と行くつもりなのかな?
クリスマスの予定ってどうなっていたかな?ま、人のまで知らないけど…
「よし!」
「決まったの?」
「あぁ。出発するよ」
「安全運転でね?」
「……うん」
なんだその一瞬の間はっ?
うぅ〜、恐えぇよぉ〜。ツーシーター嫌いだなぁ〜。
バンの後ろでのんびりのが好きだなぁ…
しかもいま気付いたけど、今頃ってみんな夜景を見に行こうと走ってて、交通量多いんじゃね?
大丈夫かなあ、松潤疲れてるのに、運転嫌になっても俺かわれないしなぁ。
な〜んて思っていたのもつかの間。
この時期の街の美しさは、照明のマジックだな。キラキラの宝石箱を引っ掻き回したようだ。
いつもはただの四角い箱の林立も、輝きの反射板となってまるでミラーハウス。
松潤は運転に集中しているため、一言も話ししない。俺も外をずっと見ているから話さない。
だけど、だんだん飽きてきて、眠くなってきた。
あ、トンネルだ。


途端に、臭い匂いが!
「「くさっっっ!」」
「な、くさすぎ!松潤、フレッシュ(外気導入)になってるよ!」
もう、入ってしまったモノは仕方がない。とりあえず、外気取り込みのスイッチを動かした。
「ちょっと大野さん?車内でやんないでよ」
「ばれた?ここならいいかと思って、ついでにしといた」
「えっ?マジで?」
「……冗談に決まってるだろ」
「ちょっと〜、今、間がなかった?」
あ、でも話ししたからかな?それとも臭かったからかな?眠気が覚めた。
「冗談だって」
「本当に?」
「本当さ」
「冗談じゃなく?」
「本当さ」
言葉遊びっぽくなって、どっちがどっちか分からなくなった。
なんてくだらない話しをしているうちに
『目的地周辺です』
永いスラロームを上ってついたところは、駐車場。正面にクリスマス仕様のスカイツリーが。
「なにここ?」
「すげぇでしょ?」
まあ多分、汐留トンネルが本来の理由だろうけど、松潤のテクを見た気がする。
「俺眠い」
なぬ?運転は交代できないから、俺は頷くしかないけど…野郎二人が駐車場で寝てるってどうなの?
「じゃちょっと歩いてきていい?」
駐車場をふらふら歩いて車に戻る。松潤はキッチリ10分で目を覚ました。
「じゃ送って行くよ」
「もうどこも寄らないよな?」
「うん?」
「トイレ行きてぇんだけど」
「さっきのはマジだったのかっ!」


〜おまけ〜

「ここが臭いって、長瀬くんに聞いたんだろ?」
「何で知ってんの?収録にいた?」
「ふふっ。前に聞いたからさ。このトンネル臭いって」
「何だ、聞いてたのか」
がっかりした松潤も可愛いなぁ〜。


〜おわり〜
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