日常茶飯事?

□大野家の正月風景?
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初夢…

紅白の司会は緊張した。
でも初っ端で相葉ちゃんが噛んで、ニノが絡んでくれたおかげで、何時もの感じになれた。
ミッキーの耳が痛かったけど、チップとデールの腹ががふわふわで触り心地最高だった。
ふるさとで、ナレーションの尺がズレてきたのは焦ったけど、修正できたし。
俺たちの出番では、打ち合わせ通りに映像と合わせられたし、そして、何と言っても、優勝!
あ〜、嬉しかったぁ!今も嬉しさ持続中〜

初詣から家に帰ると、家族が迎えてくれた。暖かかった。
「良かったじゃん!白組優勝できて」
炬燵に入って屠蘇をいただいていると、身体がぽかぽかしてくる。
「うん。良かったよ〜、今年こそ優勝したかったから。投票してくれた?」
「あんたね、子供のやりたい事を応援しない親が何処にいるの?」
かぁちゃんが、怒ったように言う。去年は負けて、家族皆んなでガッカリしてたから。ふふっ、今年は余裕があるというか、ゆったりできそう。
「ふふっ。さんきゅ〜」
「さすがに元旦は休みなんでしょ?」
「あ〜、うん」
「釣り、入れてないんでしょうね?」
「いや、さすがに船長に悪いから、頼んじゃないよ」
「ふ〜ん。怪しいわね?」
「本当、本当!ウチでゆっくり休むつもり」
俺はゴロンと炬燵に肩まで突っ込んだ。
「ふ〜〜〜」
眠りそうな俺を見て、とぉちゃんが張り切った声をあげた。
「さ〜て、恒例の行くか?」
「ビンゴ大会〜!ドンドン、ヒューヒュー!」
ドンドンヒューヒューって、口で言うんだ、笑。
「はい、はい。カード一枚取れ!」
「取ったよ〜」
かぁちゃんが右手を挙げてとぉちゃんに聞く。
「は〜い!」
「なんですか、かぁさん?」
「元旦の数字は開けていいですかぁ?」
「駄目で〜す!正月ルールはありませ〜ん」
ふふふっ。何だか楽しくなって来たちゃったな〜。
さっき飲んだ屠蘇のせいで、ふわふわしてる。





「やった〜!ビンゴ〜!いっちば
〜ん!」
なんと!俺が一番目に上がってしまった。今年はツイてるな〜。
「お?一番は智か…じゃあ、とぉちゃんの賞品だ」
「とぉちゃんのなの?何かな?」
賞品が置いてある所に行くと、やたらにデカイ。高さ1mの可愛く包装された包みがあった。
「これ?開けていいの?」
「もちろんだ」
いやっほ〜い!ビリビリしたいけど、可愛い包装紙だからテープを綺麗に剥がした。
箱の蓋が足元の方にあって、ヨッと言って開けた。
えっ?金田さん?親父の会社の事務員さんが白無垢姿でニッコリ笑った。



「うわっっ!」
「きゃっ」
俺は炬燵で寝ていたようだ。片付けのためにおぼんを下げてた姉ちゃんが驚いて声を出した。
「起きたの?」
「ん?…あ〜あ…」
欠伸。
「なに驚いてたの?初夢?」
昨日はちゃんとビンゴ大会して、賞品も貰っていたというのに、何だ?さっきの、夢?
「ビンゴ大会で、とぉちゃんに嫁をプレゼントされた」
「なにそれ?え?誰だったの?」
「…」
「誰よ、あたしの知ってる人?」
「うん」
知ってるも何も、ずっと一緒にいたよ。
「誰よ?教えて?」
「……金田さん……」
「え?事務の?」
「うん」
ちょっとした沈黙が流れる。
「人妻よ?」
「知ってる」
「そりゃあ美人だけど」
「そうだね」
「料理は最高に美味しいわね」
「そうなんだよね、あの味付け最高!」
「だけど今年定年よ」
「今年か!」
「あんたって…」
姉ちゃんは何か言いたそうにして、言わずにテーブルの上を片付けて流しに消えた。

…俺って?



〜おわり〜
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