LIFE is…

□いつまで…?
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〜大野 智〜

ダンス室に戻ると、相葉ちゃんが椅子に座り込む周りに、三人が集まっている。
何かあったのかな?
声を掛けて小走りによって行くけど、何も言ってくれない。
みんなの様子がおかしいと思うけど、四人で解決してるなら、俺はいらない、か。
…話してもくれないんだ。
ダメだ、みんなの顔が見れない、悲しすぎる。
やる事ないし荷物とって帰るか。壁際に置いたバックまで歩く。
「っおーちゃん、MAに戻るのっ?」
ニノが俺を追いかけて来て、相葉ちゃん、松潤、翔くんも周りに集まった。
何この状態。俺、つるしあげくってる?
「…ぁ?」
俺なんで、囲まれちゃってんだ?
「あんた、どういうつもりなの?」
って、松潤。あんた、呼ばわりか。俺、先輩ですよね、仮にも年上ですよね?
…でも、俺ってそういう事昔っから、言えないんだな。
「どういうって、何が?」
「トボけんなよっ!」
松潤怒っている?なに?一体何があったの?
で、翔くんを見る。助けて、翔くん!
「智くん、さっき社長となに話してたの?」
なんで、社長室にいた事、知ってんだろ?
あれ?もしかして、俺、トラブル起こしてる?
「俺、何もトラブル起こして無いよ?」
「そもそも、あんたがトラブルの元なんだろ!」
俺ぇ?えぇっと、どういう意味なんだろう?
もしかして、俺の事で誰かから、何か言われたんだろうか?
あぁ、ごめんみんな。悲しくて、申し訳なくて、みんなの顔が見れくて、斜め右下を見る。
「…俺が嵐にいたら、迷惑って事?だよね?」
何も返って来なくて、目だけ上げると、何故か四人とも絶句している?
「…やっぱりみんなも、五人目の嵐は、俺じゃない方が、いいんだよね?」
顔をあげて聞くと、四人とも口をパクパクしている。



〜嵐〜

「みんなちょっと座ろうか。いい機会だし、思ってる事話そう?」
櫻井が言う。
大野は壁を背にし、五人はその場に車座に座わる。
「ごめんね、おーちゃん。社長との話し立ち聞きしたの、俺なの」
相葉がまず謝ると、大野は許した。
「いいよ。恥ずかしいな。弱音吐いているとこ聞かれちゃったんだ?」
自嘲気味に微笑む大野を、四人は見つめている。
二宮が聞く。
「弱音?社長に?」
「う〜ん。弱音ってか愚痴ってか?」
松本が聞く。
「で、結局なんて言われたの?」
「余計なこと考えないで、言われた事だけやってろ、だって」
櫻井が聞く。
「余計なこと、って?」
「……ね?もしかして俺、つるしあげくってる?」
いつの間にか車座が壊れ、一対四になっている。
大野の右手側から、松本、相葉、二宮、櫻井の順に座っていた。
相葉が言う。
「『いつまで、あの四人のW手伝いWすればいいんですか?』」
とたんに、大野は黙った。
感情を入れないように櫻井は言う。
「手伝いって、レコーディングの経緯の事だよね?もしかして、まだ手伝ってるつもりなの?」
松本がぶっきらぼうに聞く。
「俺たちの事、どう思ってんの?」
相葉は確認するように問う。
「世界中に嵐を巻き起こすんだよね?」
二宮はキツく問いただした。
「 五人目の嵐、って何?どういう意味?」
大野の謝罪の言葉が、雄弁に語っている。
「…ごめん」
櫻井ががっくり肩を落として言う。
「やっぱり、手伝ってる、気なんだね」
「…四人が売れたら、お役御免で、俺はまたどこかの手伝いに借り出されるだけ、の存在で…」
「そんな筈無いでしょ!」
社長の、大野を騙すための言葉が誤解させ、彼を苦しめていた事を四人は理解した。
「人の言う事どんだけ信じちゃう人なの?お人よしすぎですよ。だいたい、嵐に何番なんてないでしょう?」
「ニノが一番目だよ。だって、そう書いてあったし…」
「どこに?」
「デビュー会見の次の日の新聞」
確かに、記事ではそうだったかもしれない、と二宮ほかメンバーは思った。
相葉は淡々と話す。
「最後に話しされた俺が五番目でしょ。おーちゃんじゃないよ?」
二宮は最初静かに話し始めるが、後になると感情的になって行く。
「俺は、大野さんが一番目だと思うよ。だって、歌も踊りもダンチなんだから!俺たちとじゃ、レベル落として合わせてるじゃない?俺が、それでどんだけ悔しいか、分かる?」
「バランスとるのは当たり前じゃん。ニノのが、みんなに受けるダンスだと思うよ。俺はアピール下手だ…から」
「違う、違う、違うっ!俺らに合わせることで、MAメンバーと踊ってた時みたいに、大野さんの実力を出させてやれない事が悔しいの!」
二宮の、思ってもみない言葉に、大野はかける言葉がなかった。
「俺たちを前に出して、後ろに引っ込んでんのって、どうゆー気持ちなの?優越感持ってんの?憐れんでんの?」
松本の言葉は、大野には衝撃だった。
「そんな事思った事ない!前に出ないのは、苦手なだけだよ。みんなの話聞いているのが楽しいし。それに、かわいい松潤が映っていた方が、ファンの子達も喜ぶだろ?」
「俺は!可愛くなんかないよ!おーちゃんのがかわいいじゃんか」
「そんな事ないよ。やっぱし、三歳の開きは大きいとおもうよ」
どちらもその事に関しては納得していない。
「だけど、全然年上感ないよね?僕らの事、怒んないし」
「言動でいうなら、松潤が一番上っぽいよ。常識人ていうか、頭が堅いっていうか」
「相葉ちゃん、それ、ほめてんの?けなしてんの?」
「ほめてます!」
櫻井が大野に言い聞かすように、悟らせるように話す。
「前から社長が智くんの辞意を認めなかったのは、実力を買っているからで、嵐デビューのひきがねは智くんだと、僕は思ってる。だって、智くんが一緒だからOKしたんだから」
「俺もですよ。どうせデビューするなら、尊敬する人と一緒って嬉しいですよね?」
二宮が櫻井に問いかけると、櫻井は笑って応えた。
「一緒に嵐を巻き起こすんだよね?」
何度も相葉は確認するように問う。
「誰かが売れればいいんじゃなくて、五人で楽しめばいいんだよ。」
「…迷惑だからやめろって、言っていいんだよ?」
「むしろ、迷惑っていうか世話掛けてんのは俺たちでしょう?お手伝いしてもらっていたんだから?大野さんが抜けたら、俺たち困りますから!だって、大野さんの活躍見られなくなっちゃう。知ってますよね?俺が大野智のファンだって?」
「僕もだよ。知っているよね、僕も大野智のファンだよ?」
それでも頑な大野。ここで押しておかないとまたこんな事があるかもしれない。そう思った櫻井は、言う。
「智くん、実は君を騙している事があるんだ」
「えっ?翔ちゃん、言っちゃうの?」
三人の慌てている様に、四人が一緒になっているらしい事が見て取れた。
「リーダージャンケンの事だけど」
「「「ああ〜!」」」
「あれ、勝っても負けても智くんだったんだよ」
「……え?」
「少年隊公認のズルだから!」
「え?なんで、そんな事…?」
「どうしても智くんにリーダーになって欲しかったんだ」
「年上だから?面倒事を押し付けようと?」
「違うでしょ?嵐のリーダーは大野智しかいないと思ったからです!」
「東山さん達もそう思ったから、協力してくれたんですよ」
眉尻を下げて、困惑の表情の大野。
「社長の言う事は鵜呑みにして、俺らの言う事は信じないの?」
暫くして、大野は漸く口を開く。
「…おいら、みんなと同じで、嵐でいいの?」
すがるように、聞いた。
「五人で嵐だよ?誰かが欠けたらもう嵐じゃないんだよ」
「僕ら五人で嵐、やって行こうね?いつまで、も!ね?」
「…いつまで…も?」
「そうそう!共に白髪の生えるまで!俺らは運命共同体だから!」
「死ぬまで?」
「死んでも!」
「重いなぁ〜」
「ダメダメ、もう逃げられないんだから!騙されてたとしても、クルーザーに乗ったんだから!」
「…気持ち悪くなったけどね…」
小さな声がした。
「誰の言葉よりも、僕たち嵐の言葉を信じよう?てか、信じて?」
一際元気で大きな声が響く。
「そして楽しんで行こう?色んな事をやろう?沢山の人を巻き込んで!」
相葉は、沢山、で大きな円を描いた。相葉の言葉を受けて、松本が続けた。
「巻き込めるように、努力しよう」
「おっ、真面目。さすが堅物」
「ケンカ売ってんのか?買うよ?」
「御冗談!売ったりしてません!」
「じゃあ、俺が売ってやってもいですよ?」
「御冗談!買いもしません!」
二宮が拳を振り上げ、相葉に迫る。
「やめて、アイドルだから顔はやめて!」
顔をブロックした相葉。
「では、顔じゃなく…こちょこちょこちょ!」
の空いた両脇をすかさず、二宮の両手が襲う。
「ぎゃひ〜〜、っひっひ!や〜め〜て〜!」
相葉は転げ回って逃げる。二宮は追いかけて行く。
みんな、笑顔になってそれをみていた。
なんとなく、済し崩し的に終わった会話。
四人はちらりと大野の晴れやかな笑顔を見た。















































Thank you for coming!

ALL UP !2012.11.24 0:50

2012.11.29 20:50 改
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