HTF短編

□あいむひーろー!!
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トントン。

目の前にあるドアをノックする。

「はーい…って、とうふ!?どうしたの、珍しいね」

「こんにちは、スプレンディドさん。お邪魔してもいい?」

「もちろん。今、ちょうどパン焼けたところなんだ、食べる?」

「食べるっ!!」

……ということで私は、スプレンディドさんの家の中にいる。

焼きたてのパンと、熱々のコーヒーをテーブルに運んで席につく。

「でも、君から訪ねてくるなんて…何かあったのかい?」

「ううん…ただ、近くに来たから。ちょっと、ディドさんに会おうかな、って……」

「え!?私に会いにきてくれた!?」

自分で言っといて恥ずかしくなってきて、私は小さくうなずいた。

すると彼も少し赤くなりながら、嬉しそうに笑ってくれた。

……ああ、幸せって、こういうことなのかな。

心が満たされて、温かくなる。

……と。

『キャー!!』と遠くで誰かの叫び声が聞こえてきた。

私とスプレンディドさんは、同時に顔を見合せる。

「!!……誰かが私を呼んでいる!!」

それだけ言うと、彼は窓から飛んで行ってしまった。
その姿は、すぐに見えなくなった。

……。

………。

普通、あの空気で、違う人のところに行くか!?

分かってる。

スプレンディドさんは、皆のヒーローだって。

助けに行かなきゃいけないって。

……でも、あんまりだ。

せっかく、いいところだったのに…。

なんか、泣けてきた。

…。

……。

「ディドさんの、バカ……」

その声は、誰にも届かなかった。

…はず、だった。

「誰が、バカだって?」

「!?」

ウソ。どうして!?

「なん、で…スプレンディドさんが…」

「いや、なんか虫に驚いただけだったみたい。それに……」

スプレンディドさんは私に近づくと、そっと涙を拭ってくれた。

そして、優しく抱き締められる。

「助けが必要な女の子が、ここにいたからね。急いで飛んできたんだ」

ああ、もう。

こんな安っぽいセリフも、彼が言ってくれるなら。

私の心を、一瞬で舞い上がらせてしまう。

「……遅い」

「ごめん……とうふ。これからは……」

「これから、は?」

「少しでも長く一緒にいるために。私と、ここにいてくれないか?」

ん?それって。
プロポーズに聞こえなくもないような…?

「え、っと…え?」

「一緒に暮らそう、とうふ。……好きだよ。」

えぇ!?
いや、確かにさっき、いい空気になった。なったけど…

いきなり同棲に飛ぶの!?

私がオロオロと戸惑っていると。

彼は、少し寂しそうに、囁いてきた。

「……嫌なら、無理しないで。私はとうふの気持ちを、大切にしたいんだ…」

そうきたか。
でも…はっきり言うと、かなり嬉しい。

スプレンディドさんは、そこまで私のこと、考えてくれてるんだなって。

同棲だって、私が泣いてしまったから考えてくれたんだろうし。

………これって、愛されてる…ってやつ!?

また一気に胸が熱くなる。


……私、スプレンディドさんのこと、


「愛してます……そばに、いさせてください…!!」

自分で思っていた以上に、好きみたい。

「…私はヒーローだから、さっきみたいに他人を優先するよ。それでも、大丈夫?」

「今までよりは、長く一緒にいられるなら…それだけで、幸せです」

うわっ。
恥ずかしい…自分の顔が赤くなるのが分かる。

「……可愛いなぁ、とうふは。……愛してるよ」



こうして、私達の同居生活が始まったのだった。



***END***

……続きそうで終わる。
思った以上に恥ずかしい作品になってしまった…。
ごめんなさいorz

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