kissで星物語は薔薇になる

□交じり合う熱は、夜を越えて
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「全っ然意味がわかんねぇ…。」

幽助は一人、携帯のディスプレイを見ながら呟いた。

数分前に、恋人である蔵馬にいつものようにメールを送った。
『今から会えねぇ?』と。
それに対しての蔵馬の返信は
『暫く会えない。』
というもの。ここまでは幽助も別段珍しいことではないと納得していた。

だからいつもの通り、
『忙しいんか?』
と送った。
すると…。
『そういうことにしておいて。』
と蔵馬から不可解な返信。


「そういうことにしておいて!?どういう事だっつーの!!」
納得のいかない幽助は、蔵馬のマンションへと向かうことにした。
恋人なんだから、別に一々訪ねる許可なんか取る必要ねぇんだよな、と自分自身に言い訳をして。





その頃、蔵馬は自宅のマンションで、幽助からのメールを受け取った後、携帯をベッドへと投げ、ドカリと床に座り込んでいた。
ベッドを背もたれに、ハアハアと荒い息を吐く。
身体が熱い。
その理由は熱によるものではないと蔵馬には分かっていた。

一度ギュッと目を閉じたあと、シャツのボタンを一つ一つ外していく。
そして薄く目を開くと、熱のこもった下半身の中心へと、そっと指を滑らせた。

「っん…」
けれど服の上からの刺激では当然足りない。
カチャリとベルトを外し、ズボンの前を緩め、下着ごとズボンを下ろした。
既に形を変え、熱く上を向く己自身に手を添える。
「はっ…あ…ん、…」

己を慰める行為に、すぐに蔵馬は夢中になった。
「ゆ、すけ…」
目を閉じて、彼が施す愛撫を自分の手で辿る。
胸の尖りにカリッと爪を立てると、快感に顎が上がった。
「んくっ…はっ…んん…」
ゆるゆると前を扱いていた手に少し力を込めて、快感に身を委ねるまま刺激を与え続けた。

「蔵馬…」
と耳元で名を囁く幽助の声を思い出し、彼がしてくれるように手を動かすと、すぐに快楽は絶頂へと導かれた。




吐き出された己の精液を拭ってみても、まだそこは熱を持ったままだ。
「はあ…。」
と零れる溜息でさえ熱い。

少しの間ベッドに凭れたままでいてみても、身体の熱は引いていかない。
「くそっ。」
もう一度抜くか、と蔵馬が身体を起こした時、玄関のチャイムが鳴った。






幽助はドアの前で首を傾げていた。
蔵馬の気配は確かにあるのに、なかなか出てこない。
幽助はニッと笑うと、
「お前は完全に包囲されている〜!無駄な抵抗は止めて大人しく顔を出しなさ〜い!」
と言った。

すると漸く、カチャリと鍵の開く音がした。

「オメーいるんならなんで出て来ない…ん…」
だよ、という言葉は、蔵馬の姿を見た瞬間、喉の奥に押し込まれた。

はだけたシャツに緩められたズボンの前。

「オメー…!」
幽助はギロリと蔵馬を睨むと、その体を押しのけて部屋へと上がった。
真っ先に寝室へと向かうが、ベッドはもぬけの空だ。
けれどベッドの脇に丸められたティッシュを見て、カッと頭に血が昇る。
もちろんそこには蔵馬の精液しか付着していないのだが…。


「オレ暫く会えないって言いませんでした?」
そう言って後をついてきた蔵馬の胸ぐらを幽助は掴んだ。
「そんで浮気してたってことかよ!?ふざけんな…!」
蔵馬は気怠げに幽助を見つめた。
「……浮気なんてしてませんけど?」
「嘘つけよ!じゃああれはなんだよ!?オメーのその格好も!」
散乱するティッシュを顎でしゃくり、幽助は蔵馬に詰め寄った。
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