おはなし きすまい
□プロポーズ
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俺らは付き合って5年になる。
いや、6年だったかな…忘れちゃった。
とにかく長い間一緒にいる。
同棲し始めて3年。
お互いのことは何でも知ってる。
お互い何を考えてるのかも聞かなくてもわかる。
たぶん(笑)
『裕太ー、ご飯もうちょっとかかるから先にお風呂入ってきて?』
「んー、今日の夜ご飯なにー?ちひろ」
と言いながら、後ろから抱きしめる。
『何〜?今日はね、ハンバーグ。裕太の好きなハンバーグだよー』
「まじで?やたー!」
俺はハンバーグが好き。
でもちひろが作るハンバーグはもっと好き。
「しばらくこのままじゃだめ?」
なんとなく離したくなくて、ちひろを抱きしめたまま言う。
『料理しづらいよっ ほら、お風呂入ってきなね?』
そう言って腕の中からすり抜けた。
「えー…」
俺が口を尖らすと、
『美味しいの作っとくからっ、ね?』
くったくのない笑顔でそう言った。
「わかったよ、お風呂入ってくる」
俺は口を尖らせたまま風呂場に向かった。
あの笑顔には、敵わないな〜