おはなし きすまい
□桜見
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次の日、裕太と私は約束通り桜見に来ていた。
「めっちゃきれい!すげー」
『ねー』
桜を見ていると、横から視線を感じた。
見ると、裕太がこっちを見ていた。
『な、なに?』
「んー?ちひろ、きれいだなぁって思って。」
人前で言うもんだから少し照れて俯いた。
「何で下向くの」
裕太が私の顔を見ようと顔を近づける。
『ちょ、やめてよー』
「ふっ、ちひろ顔真っ赤だよ」
『もうっ』
私がむくれて言うと、
「昨日の仕返しね♪」
そう言って無邪気に笑った。
『まだ根に持ってたのー?さ、お弁当食べよ?朝から作ったの』
「やったー!」
私たちは座ってお弁当を食べ始めた。
「んーおいしい」
『ほんと?ありがとう』
裕太は何でもおいしいって言って食べてくれる。
「この卵焼き、すげーおいしい」
『あ、それねー、お母さんに教えてもらったの。おいしいでしょ?』
「うん」
自分の作ったものをこうやっておいしそうに食べてくれるって、なんか嬉しい。
「ごちそうさまでした。」
『お粗末さまでした。』
「また来ようね」
裕太は優しい笑顔で言った。
「さ、次はちひろをいただこうかな」
裕太の顔が優しい笑顔から意地悪な顔に変わった。
『え!』
「これ、言ってみたかったの」
そう言うと私の手を引っ張り車の方へ向かった。
「さ、早く帰るよー。まだ仕返しは終わってないからね?」
この後、どうなったかは皆さんのご想像にお任せします。