おはなし きすまい
□いつだって君は
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『ひろみつ〜、今日夜ご飯何たべる?』
「ん〜…なんでもいいよ」
『なんでもいいは困るの〜』
そう言って私は料理本を開く。
ソファに寝転ぶひろみつは、少しだるそうにテレビを見ている。
その様子を見ていると視線に気づいたひろみつがこちらを見る。
「強いて言うなら、ちひろかな〜」
少し口角を上げて言う。
『なに〜?そういう答えが欲しいんじゃないの、私は』
「知ってるよ、ちひろのことは全部。俺がこういうこと言えば、んな答えするのも知ってる」
なんて少し自慢げに言うとソファから起き上がり、近づいてくる。
『ひろみつは本当に私のこと好きだね(笑)』
なんて言いながら、持っていた料理本でガードする。
ひろみつは本を取り上げ、にやっと怪しげ笑う。
「ベッドいこ」
『え、やだ』
そう言って逃げようとする私を後ろから抱きしめる。
「逃げんなよ〜。本当は嫌じゃないでしょ」
ふわっとひろみつの柔らかい髪が耳に当たったのを感じると、首筋に暖かい感触がする。
「今日は離さねぇから」
そう言って優しくキスを落とすひろみつに、私の鼓動は正直で。
そう言えば私が頷くことをひろみつは知ってる。
ひろみつは私の全部を知ってる。
でも、私もひろみつを知ってる。
いつだって君は、優しいと。