小説

□『占い屋』に行こう!
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〜注意〜
●紋章の謎(SFCとDS版が混ざってます)の時代に『占い屋』があったなら…
●マルス×シーダ
●ジュリアン×レナ
●オグマ←ユミナ
●オグマ←→ナバール(オグマ×ナバール*腐向け)
●ナバール←フィーナ
●オグマとナバールの仲を知っているのはマルス、シーダ、フィーナのみ。
という設定です。若干腐向けです。大丈夫な方だけお読みください。

暗黒竜メディウスをマルスが倒し、アリティア軍は凱旋のためアカネイアに向かっていた。その途中に立ち寄った街で、マルス達は戦闘で疲弊した兵達の休息をとることにした。

街に着いたアリティアの兵達は酒場で騒いだり、買い物をしたりと各々好きなように休みを楽しんでいた。

皆が羽目を外している中、ナバールは一人何をするともなく木陰に佇んでいた。いつもならフィーナがどこにいくにもついてきて、しつこいくらい喋りかけてくるのだが、彼女は他の女友達と買い物に行っており、久しぶりに静かに過ごすことができそうだった。

ナバールがうたた寝でもしようかと木に寄りかかっていると、近くの小屋に行列ができており、数人の男女の組み合わせが出てくるのが見えた。何事かと思い眺めていると、見知った者達を見かけた。

「マルス様、あんな風に想ってくださってるなんて嬉しいです!」
「僕もシーダの気持ちをあらためて知れて嬉しいよ」
シーダとマルスが恋人らしく腕を組んで歩いていた。そこへジュリアンとレナが現れ、二人に問いかけていた。
「マルス様達はもうされたんですか?」
「うん。とても賑わってて並んだけど、その甲斐はあったよ」
「ジュリアンもレナとのことみてもらうの?」
「そうなんすよ!」
「ジュリアンがどうしてもしたいと言って…私も少し楽しみです。」
「不思議な道具でこんな風に結果を出してくれて、良い記念にもなるよ」
そう言ってマルスは紙を取り出してジュリアンとレナに見せていた。
「これはいいっすね!レナさん!さっそく行きましょう!」
「ええ。では失礼しますね、マルス様、シーダ様」
ジュリアンとレナは列に並んだ。
マルスとシーダはナバールの視線に気付いたらしくこちらに向かって歩いてきた。
「やあ、ナバール。こんなところで昼寝かい?」
「…」
ナバールが黙っているとシーダがにこにこしながら話しかけてきた
「ナバールさんはオグマ達と一緒にいると思ってたわ」
「別に俺が一人でいようとも構わんだろ…それより…」
ナバールがマルスの持つ紙を見ながら問いかけようとすると、それを察したマルスが紙をナバールに手渡しながら話し出した。
「あの小屋は『占い屋』で、友達・恋人・家族などの相性を占ってくれるんだよ。僕はシーダとの仲をみてもらったんだ。結果がその紙だよ」
ナバールは渡された紙をみた。

マルス→(愛)シーダ(大切な人)
シーダ→(愛)マルス(全てを捧げたい)
*ヒューヒュー(愛×愛)

「…?」
ナバールが紙の内容を理解できないでいるとマルスは詳しく説明しだした。
「僕がシーダを“大切な人”と思ってて、シーダが僕に“全てを捧げたい”と思ってるということらしいよ。あと*印は占い屋のお爺さんのコメントだよ」
「…あぁ。」
ナバールはなんだくだらないと思いながら、マルスに紙を返した。マルスはそれを受け取りながらナバールに質問してきた。
「ナバールも行ってきたらどうだい?」
「はぁ??」
「そうよ!」
ナバールがありえないという顔をしていると、シーダがいきなり身を乗り出しながら勢いよく話し出した。
「ナバールさんも占ってもらうべきよ!!」
「…俺は別に…」
興味ないと言おうとしたが、口に出す前にシーダに遮られた。
「だって気になるでしょう?知りたいでしょ?自分のこと相手がどう思っているか!!」
「…いや、別に…」
「ナバールさんだってオグマがどう思ってるか知りたいはずよ!!」
「!!!!」
ナバールは雷にうたれたような衝撃をうけた。
「オグマは誰にでも優しいから心配になるでしょ?でも自分への気持ちが特別なものなら安心できるもの!!」
ナバールはシーダの言葉に心で頷いていた。実際は無表情のままだが…内心では激しく同意していた。
「相手の名前がわかっていたら結果はでるみたいだから、『占い屋』に行くなら並んだ方がいいよ」
マルスがそう言ってくれたがナバールには聞こえていなかった…。
「ナバールさん!頑張って!!」
なぜかテンションが高いシーダにナバールは後押しされ、行列に並ぶことになった。
しばらく並んで待っていると知った声が話しかけてきた。
「あれ?ナバール!あんたも占ってもらうのかい?」
ちょうど『占い屋』をでてきたジュリアンとレナだった。
「ナバールさんはこういうこと興味なさそうだから意外です。」
レナが不思議そうにしているとジュリアンがナバールぐらいな色男だと相手の女性は沢山だろうから占い屋も大変だろうよと軽口をたたいてきた。ナバールがマムクートもたじろぐほどの視線で睨みつけるとジュリアンは腰を抜かしてしまった。
「…」
「あ、あはは…いや〜冗談だよ!あはは!そうそう!俺達こうだったんだ〜」
そう言ってジュリアンは立ち上がりながらナバールに占いの紙を渡してきた。
ナバールが紙を受け取り見てみると次のようなことが書かれていた。

ジュリアン→(愛)レナ(好きだけど言えない)
レナ→(好)ジュリアン(安心できる)
*いっそ付き合ったらどうなんじゃ(愛×好)

「…」
「まさにその通りだよ〜。でもレナさんに安心してもらえるほど信頼されてるって、俺は幸せ者だなあ〜」
「ジュリアンったら〜」
二人はあはは、うふふと恋人同士の世界を作り上げていた。ナバールは正直斬りつけてやりたかったが、二人のノロケ話を聞いてる間に、順番がまわってきた。いまだにノロケあっているジュリアンとレナを放置し、占い屋に入ると…。

「ほぅ。これは随分なべっぴんさんじゃなあ〜。婆さんの若い頃にそっくりじゃ!お嬢さん、彼氏との相性かの?」
ナバールは訂正するのも面倒だったし、声の低さで男とわかるだろうとあえて何も言わなかった。
ナバールがだまっていると占い爺さんはそれを肯定だとうけとり占い方法について説明しだした。
「お前さんの名前とお前さんの気になる相手の名前をわしがこの“こんぴゅーたー”に入力すると“ぷりんたー”から結果が印刷されるというわけじゃ!最新の技術じゃから信頼できる結果がでるぞ」
「…わかった。(道具の名前がよくわからんが…そもそも言ってる意味が半分くらいしかわからん…)」
ナバールが最新技術に困惑しつつも…もちろん無表情でだが…オグマの名を告げ占ってもらった。
「お前さん随分声が低いの〜ハスキーボイスなとこも婆さんにそっくりじゃ〜。おっと、無駄話をしている間に…ほれ、こんな結果が出たぞい」
占い爺さんからナバールは紙を受け取って見てみた。

オグマ→(嫌)ナバール(服の趣味が微妙)
ナバール→(愛)オグマ(他人といると嫉妬する)
*片方が妙な気を抱いておるぞ(嫌×愛)

「!!おい!これはどういう意味だ!!」
「?おかしいのぉ〜。男同士の場合のコメントになっとるのぉ〜。故障かの??もう一度占ってみるかの。」
再び占ってもらった結果…

オグマ→(嫌)ナバール(うわべだけの付き合い)
ナバール→(愛)オグマ(他人といると嫉妬する)
*片方が妙な気を抱いておるぞ(嫌×愛)

「!!!」
「おかしいのぉ〜。また男同士のコメントじゃの。印刷ミスかの〜。まあ結果は“嫌×愛”じゃな」
「そ、それはどういうことなんだ?」
「残念じゃが、お前さんは相手から嫌われとるということじゃ」
「!!!!!」
「かわいそうじゃがこれが現実じゃよ。どうじゃ?そんな相手よりわしと仲良くせんかのぉ?」
ナバールにはもう、占い爺さんのナンパな言葉など聞く余裕はなかった。ダークマージからドゥラームをくらいHPが1になった状態だ。
「そ、そんな…オグマが…俺のことを…嫌っている…」
ナバールは、そうブツブツ呟きながら今にも死にそうな様子で、ふらふらと『占い屋』をあとにした。


ナバールが落胆しながらアリティア軍が駐屯している屋敷に戻ると、恋人や友人との相性を占ってもらった他の仲間達が互いの結果を見せ合ったりして騒いでいた。そんな幸せな周りの空気が嫌で外に出ようとした時、気になる声を聞いた。
「ユミナ、みせてよ〜」
「マリアは口が軽いでしょ!だからダメ〜」
「誰との相性を占ったの〜??マリーシア知りたい〜」
「え〜。どうしようかな〜」

声の主はグルニア王女ユミナだった。ユミナはマリアやマリーシアと占いの結果を話しているようだった。

「マリーシア!ユミナをおさえて!」
「えいっ!つかまえた!」
「あ〜」
どうやらマリアとマリーシアに力ずくで占いの紙を奪われたようだ。

「きゃ〜!ユミナってばオグマさんとのこと占ったの〜!!」
「もう見ないでよ〜」
「しかも両想い!!オグマさんはユミナのこと“可愛い”と思ってて、ユミナはオグマさんのこと“ずっと一緒にいたい”なんて…きゃ〜きゃ〜」
「“愛×愛”よ!」
「二人とも大きな声で言わないでよ〜」
そんな少女達の恋愛話をナバールはばっちり聞いてしまった。
ナバールとオグマは付き合っている。男同士だが互いに惹かれあい恋人になった。

…はずなのに…。
オグマは自分よりユミナの方が良いのか!まだ子どもじゃないか!結局女の方が良いということか!!!

ナバールは悲しみよりだんだん怒りがみなぎってきた。そんなナバールに追い討ちをかけるかのごとく、聞き捨てならない言葉を聞いた。

「オグマ隊長に“頼りになる”って思われてるぜ!」
「俺なんて“最高の相棒”だぜ!」
「いや!この俺の“いつも気にかけている”なんてお前等の“好”よりはるかに良い“愛”だぜ!」
オグマの部下であるサジ、マジ、バーツも占ってもらっていたようだ。
しかもナバールは“嫌”であるのに三人は“好”と“愛”だったらしい。

ナバールの中で何かが切れた…。


凄まじい速さでサジ達に迫り、キルソードで斬りつけた。


必殺の一撃!!×3


「「「ギャ〜」」」


「オグマ隊長…すまねぇ…」

サジ、マジ、バーツは力尽きた…

ナバールはユミナも斬ろうか悩んだが、女を斬る剣はもっていないという信条を思い出し、なんとか踏みとどまった。


自分の占い結果の書いてある紙をあらためて見てみると、オグマへの怒りが爆発した。

ナバールは死にかけているサジ達をたたき起こしオグマの居場所を問いただした。

「た…隊長はサムトーと酒場に…」

居場所を聞いたナバールはカンストした素早さをいかし、あっというまにオグマのいる酒場にたどり着いた。


ドアを斬り倒して、見慣れた金髪の男…オグマを見つけ出し、近寄っていった。オグマはサムトーと向かいあってテーブルについており、ナバールはオグマの背後に忍び寄った。
「あ、ナバールさん。」
「お!どうしたナバール?お前も来たのか?」
オグマがナバールに声をかけながら振り返った。


そこをナバールは思い切り斬りつけた。


「!!おい!!いったいなんのつもりだ!!」
オグマは何とかナバールの一撃をかわした。テーブルは真っ二つになったが…。

ナバールはものすごい殺気を放ちながらオグマに怒りをぶちまけた。
「服の趣味が微妙で悪かったな!あんたは俺とはうわべだけの付き合いなんだろ!!」
「はあ??」
オグマはナバールの言ってることの意味が全くわからないという様子だった。それがナバールを苛立たせた。再びオグマを斬りつけようとキルソードを振り下ろそうとするが…。
「落ち着いてください、ナバールさん!!」
サムトーに抑えられた。
「離せ!!サムトー!!貴様もオグマのことを狙っているんだろう!!くそ!殺してやる!」
「さっきから何言ってるんすか!!」
「ナバール、意味がわかるように話してくれ。とりあえず外でるぞ」
オグマはナバールを離すようにサムトーに言い、店主に二人ぶんの食事代と、店を騒がせてしまった謝罪、テーブルの修理代として持っている全ての金を渡した。そしてナバールの手を引きながら酒場を後にした。
一人残されたサムトーはあっけにとられながら立ち去っていく二人をみていた。


表にでたオグマとナバールはしばらくだまっていたが、オグマが、ナバールが何故斬りかかってきたのか聞いた。

「…」
「黙っていたらわからない。何があった?」
「…」
「さっきお前が言ってた言葉だが、俺には全く意味が分からないんだ。」
「…」
「俺が何かお前を傷つけたのなら謝る。だが全くわからないから謝りようがない…」
「しらじらしい…」
「?」
「あんたは俺よりもユミナや自分の部下達が良いんだろ!!」
「は?」
「俺は嫌いなんだろ!!恋人なんて嘘だったんだ!!」
「はあ?」
「よりによってあんな子どもにまで手を出して…所詮女ならなんでもいいのか!!」
「お前…何言ってるんだ!!」
「これを見ろ!あんたの気持ちが書いてある!」
そう言ってナバールは占いの紙をオグマに渡した。
「な…」
「あんたが俺のこと嫌っていて…ユミナのことは愛してて、サジ達は好きで…」
「なんだそれ!!」
「こっちが聞きたい!!あんたは俺の事なんて遊びだったんだろ!」
そう叫ぶとナバールは再び黙ってしまった。今にも泣きそうな表情で…。
「ナバール、この紙はなんだ?どこで手に入れた?」
「『占い屋』だ…相性を占っていて…当たるらしくて…」
ぽつりぽつりと呟くナバール…こんな弱々しい彼ははじめてみる。
「ユミナやサジ達もあんたとのこと占ってもらってて…結果が俺より…」
そう言うと再び黙ってしまった。

「ナバール、俺を『占い屋』に連れていけ」
「…今更わかりきった結果などみたくもない」
「いいから案内しろ!!」
オグマに強い口調で言われ、ナバールはしぶしぶ『占い屋』まで行くことにした。
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