聖者が待つ約束の地:T

□我ガ赴クハ星ノ海原
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 数分後、船務長の名取が端末を抱えて艦長室に入り、乗組員が欠員なく全員乗艦したことを報告しに来た。

「わかった。提督には俺が報告する」

「はい」

 素早く退室した名取を見送ると、通信を開いて『ヤマト』に乗り組んでいる沖田に全員が乗艦したことを口頭で伝える。『ヤマト』も全員が乗艦したようで、短時間の質疑応答の後、沖田はいくつかの支持を下して通信を切った。

「……あとは、エンジンか……」

 現時点での最大懸念事項は、波動エンジンを起動させるために必要な外部電力の確保であった。ちなみに、その次は波動エンジンが起動するかどうかである。

 今日、極東管区の供給電力がすべてここに送られる手はずになっている。しかし、極東管区の供給電力だけで波動エンジンを起動させることができるかといわれると、保証はできない。

 だがそれについては、真田および大山に腹案があるらしい。今はそれを信じて待つことにしよう。








 だがその数時間後、最も聞きたくない音が耳に飛び込んできた。

「…チッ、こんな時に……っ!!!!」

 突如鳴り響いた空襲警報に原は舌打ちすると、軍服を整えて艦長室を飛び出した。


 
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