Long Dream

□2人のトラファルガー
1ページ/2ページ



ククク、と笑い此方を見据える。


「お前は」


我が名を言ったらこいつは一体どう動くか。


非常に面白い。


『名は、トラファルガー』


「「「??!!」」」


『トラファルガー・***、だ』


ニヤリ、と口の端をあげるあたしは、どれだけ悪人面をしているのだろう。


「船長兄弟でもいたのか?」


「いいやいねぇ」


「じゃ、じゃあこいつは一体・・?!」


3人が困惑してるのが手に取れる。


想像以上に面白いな。


『混乱してんのはこっちも同じだ。気が付いたら此処にいたんだからな』


「じゃあ、お前は船長じゃないんだな?」


『シャチにお前呼ばわりされるとは。堕ちぶれたもんだな』


「な、なんだと?!」


単純なやつだな・・。


さっきから黙っていたペンギンが口を開ける。


「どこから来たのか、わかるのか?」


『・・・』


黙ったあたしを3人は無言で見つめる。


『廃工場にいた。』


「ここは海のド真ん中だ。しかも浮上したのはつい先刻。あの短時間でこの甲板にいるのは不可能だ」


しかも1番に外に出たのがペンギンだしな、とシャチが付け加える。


別に言っても構わないが信じるのだろうかこいつらは。


「・・言え」


同じ瞳をもつ者に睨み付けられ、仕方なく口を開いた。


『切り込みに行った。そしたら・・』


女に突き落とされて、3階から落ちた。目が覚めたら此処にいた。


そういうと3人は口を閉ざしてしまった。


『だから、さっきから考えていた。


ペンギンとシャチの存在。


あまりにも似すぎている顔。


そして同じ姓。』


フゥ、と息を一つはく。久しぶりにこんなに話した。


『ここは違う世界。違う世界からこの世界に来た。そして、』


彼を見据える。


『あんたとはパラレルワールドの同一人物だ。』
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ