Long Dream
□2人のトラファルガー
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ククク、と笑い此方を見据える。
「お前は」
我が名を言ったらこいつは一体どう動くか。
非常に面白い。
『名は、トラファルガー』
「「「??!!」」」
『トラファルガー・***、だ』
ニヤリ、と口の端をあげるあたしは、どれだけ悪人面をしているのだろう。
「船長兄弟でもいたのか?」
「いいやいねぇ」
「じゃ、じゃあこいつは一体・・?!」
3人が困惑してるのが手に取れる。
想像以上に面白いな。
『混乱してんのはこっちも同じだ。気が付いたら此処にいたんだからな』
「じゃあ、お前は船長じゃないんだな?」
『シャチにお前呼ばわりされるとは。堕ちぶれたもんだな』
「な、なんだと?!」
単純なやつだな・・。
さっきから黙っていたペンギンが口を開ける。
「どこから来たのか、わかるのか?」
『・・・』
黙ったあたしを3人は無言で見つめる。
『廃工場にいた。』
「ここは海のド真ん中だ。しかも浮上したのはつい先刻。あの短時間でこの甲板にいるのは不可能だ」
しかも1番に外に出たのがペンギンだしな、とシャチが付け加える。
別に言っても構わないが信じるのだろうかこいつらは。
「・・言え」
同じ瞳をもつ者に睨み付けられ、仕方なく口を開いた。
『切り込みに行った。そしたら・・』
女に突き落とされて、3階から落ちた。目が覚めたら此処にいた。
そういうと3人は口を閉ざしてしまった。
『だから、さっきから考えていた。
ペンギンとシャチの存在。
あまりにも似すぎている顔。
そして同じ姓。』
フゥ、と息を一つはく。久しぶりにこんなに話した。
『ここは違う世界。違う世界からこの世界に来た。そして、』
彼を見据える。
『あんたとはパラレルワールドの同一人物だ。』