Long Dream

□その瞳は、
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変な女が現れた。


急に甲板に現れたかと思えばそいつはおれそっくりで。


髪も瞳も同じ色で、輪郭やピアスの位置までそっくりだ。


いや、同じといった方が正しいな。


ただ、肌の色が雪のように白く美しく、アルトの声をしていた。


名をしったときは驚いた。


そしてそいつが話した異世界説にも妙に納得がいった。


が、


それじゃつまらねぇ。


刃を振り下ろせば足につけていた短刀で防ぎやがった。


交わる刃、踏み込む足、覇気をまとったその瞳。


どちらともなく


『「おもしれェ」』


そう呟いていた。


仲間にならねェかと問えば、あっさりと拒否しやがった。


拒否しても力づくで仲間にする気だったが、こいつは馬鹿じゃねェらしい。


一応仲間になる、そう遠まわしに言ってきた。


これから暇潰しができる、そう思い口角をあげていると、あいつはおれに突っ込んできた。


そっからは死闘だ。


シャチが半べそかいてんのがよく見えた。(あいつも見えたらしく溜息をついていた)


ペンギンに終わりを告げられ、能力を発動しバラそうとしたとき、


おれの身体は突如揺れた船体と荒波によって呆気なく海へと落ちていった。


そっからの記憶がねぇ。


ただ、海が笑っていたように見えたのはきのせいだったのか。


助け出された後にペンギンから聞けば、おれを救ってくれたのはどうも死闘を繰り広げたあいつらしい。


情でもかけたか、と呟けば、


「クルーとして当然のことをしたまでだ、そうですよ」


あいつに言われたのであろう言葉をペンギンが反復した。


「船長、あんたも風呂入ってきたらどうだ?海水でベタベタだろう」


「あァ・・」
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