Long Dream
□傷も喧嘩も愛のうち
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『・・ん』
あれ、ここどこだろう。
目を開ければそこには天井。
隣を見れば、
『・・ベポ?』
「・・・」
ずっとあたしを見ながら黙り続けている。
『ここどこ?』
「おれの部屋・・」
やっと喋ってくれた。でも、あんなこと言って嫌われちゃったかなー・・。
『そっか。じゃあこれベポのベッドだよね。ごめんね使っちゃって』
「なんで・・」
ぼそりとベポが呟いた。
「なんで怒らないの?おれ怪我させたのに」
『何も知らないあたしが来たのが悪いの。ごめんねベポ』
その瞳が大きく見開かれて、悲しそうに頭を伏せた。
長い沈黙の後、
「・・おれ、前の島で撃たれたんだ」
『・・うん』
ぽつり、ぽつりとベポがしゃべりだした。
「おれが熊で、喋って、立ってるからって」
その声は今にも泣きだしそうに震えていた。
「化け物、って言われた」
その瞬間。あたしはベポを抱きしめていた。
『あなたは、化け物なんかじゃない。立って、喋れて、戦える熊なんてすごいじゃない』
「・・」
ベポが震えているのが分かる。それを包み込むように腕に力を込める。
『あなたは何も悪くない。悪い人なんて誰もいない。どんな姿で生まれようが、どんな能力を持っていようが、』
あたしだって、あなただって、
『心があれば、十分だもの』
せきを切ったようにベポの目から溢れる涙。
『大丈夫、大丈夫よ』
ベポの涙が収まるまであたしはずっと抱きしめていた。