they met exceeding the time

□She is the guinus of cunning
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[おう、白樹隊長。急にどうしたんすか?]


5分ほどたった頃だろうか。


受話器の向こうから新たな男の声が聞こえてきた。


十二番隊第三席 阿近である。


余談であるが、奏と阿近は彼が"蛆虫の巣"にいた頃からの旧知の仲だ。


「おっ、阿近じゃん。元気?」


受話器越しながらも数ヶ月振りの旧友との再会に、奏の声には喜びが含まれていた。


一方の阿近は彼女の問いに大きく溜め息を吐いた。


[…隊長が副隊長連れ込んで1ヶ月も研究室から出てこないんで隊務が滞って参ってます]


「アララ、マユリの奴まーたくだらん研究で阿近困らせてんなァ。よし、任務終わってソッチ戻ったらブッ殺してやんよ」


[それだけはやめてください]

ハハハ、と笑い声を漏らす奏に本当は隊長だけでなくアンタも俺の悩みの種だ、と阿近はいってやりたかったが、いかんせん現在は仕事中だとぐっとこらえる。


「ああ、そうそう。本題なんだけど」


そんな阿近の様子に気づいていないのかあるいは意図的に黙殺したのか…奏は唐突に本題へと話題を切り替えた。


「ちょーいまずいことになってね、今魂魄のデータと画像をソッチに転送するからさ。調べてほしいんだわ」


そういうと、奏は事の顛末を話し始めた。


彼女の話によると、つい先程妙な人間にあったのだという。


白髪に真紅の瞳をしたその人間は、人間の範疇を遥かに上回る回復能力をもち、心臓を貫かれるか首を跳ねないかぎりどんなに致命傷を与えても死ぬことはないらしい。


それはまるで『虚』のもつ超速再生のようだった、と奏は語る。


[それで、その人間の体の構造を俺らに解析しろと?]


話が一区切りついたところで、阿近が奏に聞いた。


だが彼女の口から語られたのは肯定の意ではなく、驚きの現実だった。


「イヤ、まだあんだよ。オカシーことが」


[…?]


「そいつら…『整』になる前に『虚』になったんだよ。死んですぐにな」






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